コラム:外国人の在留資格・在留申請にまつわる話

[ブログ]短期滞在の不法残留とパスポート不携帯

2024-10-21


「交際女性の『交通違反』で発覚… 観光ビザで入国した韓国人の男「パスポート・在留カード」不携帯で逮捕…どちらも"期限切れ"と判明 オーバーステイした経緯など調べる ― 北海道帯広市」

(2024/10/21 北海道文化放送)によれば、"韓国籍の24歳の無職の男がパスポートと在留カードを不携帯だったとして、入管難民法違反の現行犯で逮捕されました。(中略)警察署で確認したところ、男はパスポートと在留カードを所持しておらず、その場で逮捕されました。また有効期限はともに切れていた(中略)男は観光ビザで日本に入国していて、警察は不法残留した経緯などを詳しく調べる方針"とのこと。

短い記事ではありますが、入管法違反について押さえておくべき基本的事項が詰まっている記事であるので、解説・訂正をしておきたいと思います。




観光ビザで入国?


大韓民国は査証免除国であるので、観光目的等90日以内の短期滞在目的で来日しようとする際は、通常ビザ(査証)を必要としません。観光ビザで入国したのではなく、観光目的でビザなしで入国したのだと思います。




パスポートと在留カードの不携帯について


日本にいる外国籍の方にはパスポートについて求められたらいつでも提示できるよう、常時携帯の義務(違反すると10万以下の罰金)がありますが中長期在留者(3ヶ月を超える在留期間の在留資格を持って日本に在留する人)には在留カードが発行され、在留カードを携帯していれば、パスポートを携帯している必要はありません。当該男性は「短期滞在」なので、元々在留カードは持っておらず、パスポートのみ不携帯であったのだろうと思います。なお、警視庁のホームページ(2024/10/21 19:37現在)に、"外出するときは、旅券又は在留カードを必ず携帯してください。"とありますが、間違いです。正しくは"在留カードが発行されている人は在留カードを、そうでない人は旅券を必ず携帯してください。"です。このホームページを見て、中長期在留者の方がパスポートのみを携帯し警察に見つかると在留カード不携帯で面倒なことになります。お気をつけください。



どちらも期限切れ?


上記のとおり、「パスポート・在留カード」どちらも"期限切れ"ではなく、パスポートが期限切れだったのだろうと思います。パスポートが期限切れのまま入国する(空港等で上陸審査を受ければすぐわかるので、密入国のようなケース)は、有効な旅券を所持していないということで不法入国者として扱われますが、在留中に期限が切れてしまった場合の扱いについてはちょっとわかりません。本国の在日大使館に行って速やかに新しいパスポートを発行してもらう必要があります。パスポートの有効期限が切れていること自体は、ここではあまり問題になりません。



上陸拒否事由


以上のことから、当該男性は、不法残留とパスポート不携帯の罪に問われることなります。この中で不法残留は退去強制手続の対象となり、退去強制された日からは5年間は日本に入国することができません。(リピーターの場合は10年)



おそらく、正しくは、、、


おそらく、当該男性は、「短期滞在」の在留資格でビザなしで日本に入国、もともと在留カードは発行されていないが、在留期限を超えて日本に滞在し不法残留状態になっているところに併せて、パスポート携帯義務違反が発覚したということだと思います。




追記


以上、備忘として述べましたが、警視庁のホームページが正しくないことを発見し愕然としました。職務質問をかけて、正しくない情報をもとに法律違反に誘導する行為になりかねないので、訂正を申し入れようと思っています。