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トランプ大統領、「不法滞在者への利益」を目的とした大統領令に署名

公開日
2025-02-20
メディア
The Guardian
記事要約
ドナルド・トランプ前大統領は、不法移民への連邦給付を停止することを目的とした大統領令に署名した。ホワイトハウスは「すべての税金による不法移民向け給付を終了する」と発表したが、具体的にどの給付が対象となるかは明確にされていない。不法移民は通常、緊急医療を除いて公的給付を受けられないが、1982年の最高裁判決により、小中高校(K-12)の教育は移民の地位に関係なく無償で提供されている。

この大統領令の背景には、1996年に制定された福祉改革法がある。この法律は不法移民への公的給付を禁止していたが、トランプ氏は、前政権であるバイデン政権がこの法律を骨抜きにし、多くの不法移民に対する給付を拡大したと批判している。特に、バイデン政権は「パロール制度」と呼ばれる一時的な入国許可を広範に利用し、CBP Oneアプリを通じて90万人以上を入国させたり、キューバ、ハイチ、ニカラグア、ベネズエラから50万人以上を支援者付きで受け入れるなどの措置を講じた。さらに、ウクライナやアフガニスタンからの約30万人もパロールの対象となった。パロール許可を1年以上受けた人は「適格な非市民」とみなされ、一部の所得基準による公的給付を5年後から受けられるが、一部の州ではこの期間が短縮されている。

今回の大統領令では、1996年の福祉改革法に違反する形で行われている連邦給付の特定と停止を各省庁に指示し、州や地方政府が連邦資金を利用して「聖域都市」政策を推進することを防ぐ方針が示された。また、バイデン政権が導入したCBP Oneプログラムの即時停止も命じられた。

さらに、トランプ氏は就任初日に移民政策に関する10本の大統領令を発表し、その中には米国内で生まれた子どもに自動的に市民権を付与する「出生地主義」の廃止(現在裁判所で一時差し止め)や、南部国境での亡命申請の停止が含まれていた。また、全省庁に対して規制の見直しを命じ、イーロン・マスクが率いる「政府効率化部門」と協力し、政権方針に沿わない規制の廃止や変更を進めるよう指示した。

この動きの一環として、トランプ政権は米国平和研究所(国際紛争解決を推進する機関)、米州財団(中南米の地域開発を支援する機関)、アフリカ開発財団(アフリカの地域開発を促進する機関)など、複数の独立機関を廃止する方針も示した。これは政府の規模を縮小し、財政の効率化を図る狙いがあるが、法的な問題を巡って裁判が相次ぐと見られている。
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米国