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「名古屋の悪夢」は払拭されたのか 法務省が掲げる収容者の待遇改善、東京入管施設ルポ

公開日
2025-04-21
メディア
産経新聞
記事要約
名古屋入管でのスリランカ人女性の死亡事故を受けて、収容者の待遇改善が進められているという東京出入国在留管理局を取材した。施設は東京都港区にあり、庁舎の上層階が収容スペースとなっている。訪問当日、1~2階の窓口は多くの外国人で混雑しており、最大17言語に対応しているというが、職員からはオンライン申請の利用を求める声も聞かれた。

難民申請に関しては、スリランカ人、トルコ人、パキスタン人が多く、最近はタイ人も増えているが、「難民とは言えない申請者も多い」と職員は語る。日本の難民認定率は1%未満と極めて低く、欧米諸国と比べてかなり厳しい基準が設けられている。

収容施設では、収容前後に健康状態を確認する医療スペースが設けられており、常勤医師2名、非常勤医師12名が対応。レントゲン設備も整い、必要に応じて外部の医療機関での治療も行われている。建物は築20年以上で一部改修中のため、収容定員は本来の800人から現在は500人程度に減っており、取材時点では267人が収容されていた。

収容者の生活は、起床が午前7時、消灯が午後10時で、自由時間は1日6時間。食事は宗教上の制約と物価高の影響で業者の確保が困難になっており、1人当たりの食費も増加している。入国警備官が訓練を行う「鍛錬場」には、暴れる収容者を取り押さえるための技術指導のほか、飛行機内での強制送還対応を学ぶための設備もある。

見学では施設の設備や職員の取り組みを確認できたが、収容者本人の声を聞けなかった点が心残りだった。現場では待遇改善の努力が進められている一方で、制度や人手不足の課題も浮き彫りになっていた。
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難民認定