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なぜクルド人は「叩かれる」のか。日本の難民制度を「悪用」していると見られてしまうワケ

公開日
2025-04-19
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記事要約
NHKが2024年4月に放送した、埼玉県川口市に住むクルド人を取り上げたドキュメンタリー番組が「偏向報道」として批判を受け、再放送や配信が中止された。番組やその後の社会的議論を通じて、日本に住むクルド人に対する不信感や反発が表面化している。

日本に住むクルド人の数は約2000人と少数であるにもかかわらず、彼らへの批判が強まっている背景には、彼らの多くが難民申請を繰り返して在留しているという点がある。日本ではトルコ出身のクルド人の難民認定率が極めて低いにもかかわらず、申請を繰り返すことで長期滞在が可能となっている現状が「制度の悪用」と見なされている。また、SNS上では一部クルド人による派手な生活ぶりやトラブルが取り上げられ、治安悪化への懸念も広がっている。

政府は2024年に入管法を改正し、3回目以降の難民申請者に対しては強制送還を可能としたが、実際の送還者数はごくわずかにとどまっており、対応の不十分さが批判されている。石破首相も「ルールを守らない外国人は共生できない」と述べ、強硬な姿勢を見せている。

一方で、欧米諸国ではクルド人が正式な難民として受け入れられ、現地社会に適応しているのに対し、日本では制度上難民としては認めず、事実上滞在を許しているという“中途半端な対応”が続いている。この不安定な立場が、日本文化や社会への適応を妨げ、摩擦を生んでいるとの指摘もある。

日本は今後、少子高齢化の進行により移民受け入れを避けて通れないが、クルド人との軋轢が示すように、移民との共生には明確なルールと誠実な制度運用が不可欠である。現行のような対応を続ければ、特定の民族だけでなく外国人全体への偏見や反発が拡大しかねないという懸念がある。
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