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<ファクトチェック>生活保護は「受給権がない外国人ばかり」 参政党候補の発言は不正確

公開日
2025-07-13
メディア
毎日新聞
記事要約
この記事は、参政党の候補者・初鹿野裕樹氏による「外国人の生活保護受給」に関する発言を取り上げ、その正確性をファクトチェックした内容である。

初鹿野氏は、参議院選挙の街頭演説で「外国人は生活保護を受ける権利がないのに支給され、日本人は申請しても門前払いにされる」と主張し、「外国人ばかりが受給しているのは不公平だ」と訴えた。SNSでもこの発言に同調する声が多く見られたが、発言には事実と異なる点が含まれている。

まず、生活保護法は本来「国民」を対象としているため、外国人には法的な受給権はないという点では初鹿野氏の発言は正しい。しかし、1954年の厚生省通知以降、人道的観点から、永住者や日本人の配偶者など一定の在留資格を持つ外国人には行政措置として生活保護が支給されており、この運用は最高裁も否定していない。

また、「外国人ばかりが受給している」という印象を与える発言についても事実とは異なる。厚労省のデータでは、生活保護世帯のうち外国人世帯主の割合は2025年4月時点で2.9%にすぎず、10年以上にわたって大きな変化はない。大阪市の例でも、外国籍の受給者数は減少傾向にあり、外国人市民の増加と比例していない。

さらに、初鹿野氏が述べた「外国人への生活保護支給に年間1200億円」という数字についても、厚労省は「根拠のある数字ではない」と否定しており、発言に事実としての裏付けはない。

演説では、「中国人32人が一度に受給認定された」という具体例も挙げられたが、出典や確認可能な事実は示されておらず、信憑性に欠ける。

厚労省は、「一定の在留資格を持つ外国人には、生活に困窮している場合に人道上の理由で生活保護に準じた支援を行っている」と説明し、制度やデータについては公的情報を参照するよう呼びかけている。

総じて、初鹿野氏の発言は一部に事実が含まれるものの、統計的根拠や制度の実情を踏まえず、不正確で誤解を招く内容になっている。この記事は、その点を明確にし、選挙に関連する発言の信頼性を問う意図で書かれている。
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