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モンスターの時代:国連人権高等弁務官が語るガザ、移民、気候危機、そして連帯の欠如(延長インタビュー)

公開日
2025-07-11
メディア
Democracy Now!
記事要約
このインタビューは、国連人権理事会の本部があるスイス・ジュネーブで、フォルカー・テュルク国連人権高等弁務官に行われたものです。彼は、ガザでのイスラエルの行動について「民族浄化」に当たると明言し、住民の強制的な移動、住宅の系統的な破壊、人道支援の拒否などが、国際法に反していると非難しました。彼は、ガザでの人道状況の悪化、数百人の市民が支援物資を求めて殺されている現実、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)に対する攻撃も問題視し、それが戦争犯罪に該当する可能性があると述べました。

さらに、米国の移民政策に対しても懸念を表明。トランプ政権下での移民の悪者扱いや、エルサルバドルの巨大刑務所「CECOT」への強制送還などを批判し、人権と法的手続きの保障が欠如していると指摘しました。また、平和的な抗議に対する軍事的対応は正当化されず、表現の自由や平和的集会の権利を尊重すべきだと主張しました。

テュルク氏は、現代における「モンスター」は、連帯や共感の欠如、分断された社会であり、健全な公共空間が失われていることだと述べました。加えて、米国によるUSAID(国際開発庁)の資金削減は、紛争地や貧困地域での人道支援の停止を引き起こし、命に関わる影響をもたらしていると警鐘を鳴らしました。国連の活動予算の削減も同様で、特にコロンビアでの和平支援活動が縮小を余儀なくされています。

気候変動についても強い危機感を示し、これを人権問題と捉え、国家や企業に対して責任を問う姿勢を明確にしました。気候変動の影響は最貧層や先住民族に最も深刻で、移住や生活基盤の喪失につながると述べています。

また、テクノロジーの分野では、ビッグテックの無制限な権力が選挙や社会的分断に悪影響を与えていると警告。特にSNSによる憎悪の拡散や誤情報は暴力や弾圧を助長し、民主主義を脅かすとしています。欧州のデジタル規制法(DSAなど)を例に挙げ、国際的な規制枠組みの必要性を強調しました。

中国によるウイグル人への人権侵害に関しても、前任者による報告書の勧告を引き継ぎ、中国政府との対話を継続していると述べました。宗教や文化に基づく差別、家族の分断、恣意的な拘束などを問題視し、刑事司法制度の抜本的改革が必要だとしています。

最後に、オーストリア出身として第二次世界大戦後の歴史認識に強い関心を持ち、人権や難民保護に生涯を捧げてきた自身の背景を語り、「人権とは、私たちの現在であり、未来でもある」と強調しました。彼は、反人権的な動きに対抗し、人類の共通基盤としての人権を守ることの重要性を改めて訴えました。
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