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米国西部の経済発展に対する中国人排斥法の影響

公開日
2024-12-01
メディア
The Centre for Economic Policy Research
記事要約
中国人排斥法に関する研究は、移民制限が経済と労働市場に与える影響を検証した重要な事例を提供している。この法律は1882年に制定され、中国人労働者の移民を禁止し、既存の中国人住民にも市民権取得や一時帰国後の再入国を認めないものであった。支持者は中国人労働者が白人労働者の雇用を脅かすと主張したが、一方で企業は労働力不足と経済損失を懸念していた。

研究は、1850年から1940年の米国西部8州を対象に、中国人排斥法がもたらした労働市場や経済への影響を分析した。その結果、法律は中国人労働者の減少をもたらすと同時に、白人労働者の供給成長率や収入増加も鈍化させたことが分かった。また、製造業の生産量や事業所数の減少が確認され、特に遠隔地で経済成長が停滞した。さらに、中国人労働者の減少が熟練白人労働者の流出を招き、両者が経済活動において補完的な役割を果たしていたことが示唆された。

この研究は、移民制限が経済に与える影響を単純なゼロサムゲームとして捉えることの限界を示している。移民労働は地域経済の規模を拡大し、地元労働者を補完する役割を果たす可能性があるため、一律的な移民禁止政策は予期せぬ経済的損害を引き起こすリスクがある。政策立案者は、移民の役割や地域経済の特性を考慮した柔軟なアプローチを採用する必要がある。
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