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英国はデータ漏洩とメディア封鎖を受けて、アフガニスタン人への秘密移民計画を立ち上げた

公開日
2025-07-15
メディア
Financial Times
記事要約
英国政府は、2022年2月に英国兵士のメールによって約2万5千人のアフガン人の個人情報が流出し、タリバンからの報復リスクが生じたことを受け、秘密裏に数十億ポンド規模のアフガン人再定住計画(Afghan Response Route)を立ち上げた。この計画は、タリバンの標的となるリスクが高いアフガン人約2万5千人を英国に移住させるもので、費用は最大70億ポンドと見積もられていた。

このデータ流出は2023年8月にSNSで指摘されるまで発覚せず、流出した情報は家族も含め約10万人に影響を及ぼすと政府は推定。流出データには政府関係者のメールアドレスも含まれていた。流出事件を受け、政府は秘密の強力な「スーパー禁止命令」を発令し、報道を長期間封じていたが、2024年7月にロンドン高等法院がこの禁止令を一部解除した。

2024年7月時点で約1万8500人のアフガン人が移住し、そのうち約5500人はデータ流出を受けて直接移住させられた。国防省は、移住コストの見積もりを当初の70億ポンドから55〜60億ポンドに修正し、リスク評価も当初より軽減されたとしている。

この事件に対し、国防長官ジョン・ヒーリーは議会で謝罪し、秘密計画の新規申請受付は停止された。また、流出により多くのアフガン人がタリバンからの殺害や拷問の危険に晒されたとされ、現在665人以上が国防省を相手取って損害賠償の集団訴訟を起こしている。
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