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マスクを着けた入国管理局職員が米国全土に恐怖と混乱を引き起こしている。

公開日
2025-07-10
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npr
記事要約
2025年、トランプ政権による違法移民への取り締まりが全米各地で強化され、覆面をした移民・関税執行局(ICE)や国土安全保障省(DHS)の職員による逮捕映像が相次いで目撃・撮影されている。

こうした逮捕では、警察を装った覆面の職員が暴力的な手法で市民を拘束する様子が確認されており、被害者の中には合法滞在者や市民権を持つ者も含まれている。

たとえば、ボストンではタフツ大学のトルコ人留学生ルメイサ・オズトゥルク氏(30)が、理由の説明もなくDHSに拘束されたと弁護士が発表。カリフォルニア州モンテベロでは米国市民の男性がICEによって誤って拘束された。

さらに、カリフォルニアのホームセンター前では、ヒスパニック系の男性がトラック内で拘束される様子を撮影していたヒスパニック系の写真家・博士課程学生ホブ・ガルシア氏が、録画を試みたことで地面に押さえつけられ24時間以上拘束された。彼は自身が人種的に標的にされたと主張し、DHSを相手取り100万ドルの損害賠償を求める訴訟を起こしている。

民間の法律団体MALDEFは、これらのケースはヒスパニック系住民を狙った人種プロファイリング(外見による選別)であると主張。DHS側はガルシア氏が職員を侮辱・攻撃したために逮捕したと反論し、マスク着用については職員の個人情報がネットで晒され、脅迫を受けているための安全措置だとして正当性を主張している。

一方で、ニューヨーク市弁護士会などは、覆面での捜査が市民に恐怖を与え、誤認逮捕や暴力の誘発、責任回避を助長するとして懸念を表明している。実際、ICE職員を装った人物が強盗や性的暴行を行った事件も報告されており、DHSは調査中だ。

民主党のパディヤ上院議員とブッカー上院議員は、連邦移民捜査官によるマスク着用を禁止する法案を提出。ロサンゼルスではパディヤ議員が記者会見で強制退去させられる場面も起きた。

ガルシア氏は、今では母親の外出を制限し、地域住民が外出を避けるようになったと語る。自身の訴訟を通じて、恐怖に対する抵抗とコミュニティの声を取り戻すことが目的だとしている。
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