世界の移民・難民
関連ニュース

研究:移民はドイツの犯罪率を上昇させていない

公開日
2025-02-20
メディア
DW
記事要約
ドイツの著名な経済研究所「ifo研究所」による最新の分析によると、移民や難民が犯罪を犯しやすいという傾向はなく、移民の割合と犯罪率の間には統計的な相関がないことが明らかになった。

研究では、2018年から2023年の犯罪統計と地域ごとのデータを分析し、移民が犯罪統計で過大に表れる理由は、彼らが都市部に集中し、人口密度や夜間活動の多い地域に住む傾向があるためであると指摘。こうした地域では、ドイツ人と外国人を問わず犯罪率が高くなる。

また、移民が若年層や男性の割合が高いことも影響しているが、決定的な要因ではないと研究者は述べている。

しかし、移民犯罪のイメージは政治的に利用され、ドイツの選挙戦では移民の犯罪増加を強調する発言が相次いでいる。極右政党AfDの政治家らは、移民による暴力犯罪が急増していると主張しているが、これらの数字は事実と異なることがメディアのファクトチェックで判明している。

ifo研究所の研究者は、移民と犯罪の間に体系的な関連性がないことは、ドイツだけでなく他国でも証明されていると指摘。今回の研究の新しさは、地域ごとの犯罪データを用いて、より公平な分析を行った点にある。

また、移民の教育レベルが過小評価され、移民の数自体が過大に認識されているなど、現実とイメージのギャップも指摘された。移民犯罪がメディアで長期間報道されることで、移民と治安リスクが結び付けられやすくなり、政治的な利用が進んでいるという。

さらに、移民が犯罪統計に多く登場する背景として、ドイツ人同士の犯罪では告訴が少ない一方、移民が加害者でドイツ人が被害者の場合、告訴される確率が高いことが影響している可能性があると分析している。
タグ
ドイツ