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問題と機会:ドイツにおける労働者の福祉と起業に対する移民の影響

公開日
2025-01-04
メディア
CEPR
記事要約
近年、先進国では移民圧力が増加しており、特にドイツのような大規模な受け入れ国では、移民の影響を理解しようとする努力が進んでいます。特に2012年から2017年にかけて、ドイツでの低技能移民の受け入れが進み、これが国内の労働市場にさまざまな影響を与えました。移民は労働者として、また起業家としての二重の役割を果たしており、低技能移民がもたらした影響は、ドイツの異なる人口群において異なった形で現れました。

低技能移民の流入によって、平均的な労働者の福利は0.88%減少し、特に低技能労働者が1.59%の損失を被る一方で、高技能労働者は0.9%の利益を享受しました。起業家に関しては、低技能移民の影響は、移民が経営するビジネスで利益を増加させる一方で、現地のネイティブ企業の収益は減少し、低技能労働者の自営業への移行が促されました。

また、インドとの「移民・労働者移動協定(MMPA)」によって、高技能労働者の移民受け入れが増加すると、低技能移民による損失はある程度軽減されることが示唆されました。しかし、完全には回避できないことが分かりました。移民起業家による雇用創出がドイツ経済に貢献していることも分かり、移民起業活動の禁止が経済に与える悪影響をシミュレーションした結果、移民起業家の活動が経済の利益を押し上げることが確認されました。

最後に、企業内の民族的分断が福利に悪影響を与え、移民が起業家として活動する機会を増やすことが、失業率の低下や貧困削減に繋がる可能性があると結論づけられました。しかし、この研究は移民が年金制度に与える影響や人口動態の変化を考慮していないため、低技能移民による損失の上限を示しているに過ぎないことを指摘しています。
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ドイツ