よくあるご質問

外国人雇用(技術・人文知識・国際業務)について(雇用主様向け)

採用前・選考

[共通]外国人を技術・人文知識・国際業務で採用する際に必要な基本要件は?

「技術・人文知識・国際業務」で採用するには、従事させる業務が専門性のある事務・技術・企画系であることが前提です。本人は業務に関連する分野の大学・専門学校等の卒業、または学歴がない場合は原則10年以上の実務経験が必要です(通訳・翻訳など国際業務の一部は3年以上)。給与は日本人と同等以上である必要があります。

[共通]アルバイト経験のみでも採用できますか?

実務経験は専門性が求められ、原則10年以上が必要です。アルバイトのみでは要件を満たさない場合が多いです。

[共通]日本語能力は必須ですか?

法的に必須ではありませんが、職務内容や社内コミュニケーションに応じた日本語力が望ましいです。

[国内]外国人留学生を新卒採用する場合の注意点は?

外国人留学生を新卒採用する場合は、在留資格「留学」から「技術・人文知識・国際業務」等への在留資格変更が必要になります。業務内容が在留資格の対象となる専門的・事務的分野であること、給与が日本人と同等以上であることが基本要件です。なお、大学や日本の専門学校を卒業した場合は、専攻と業務内容との関連性は近年柔軟に解釈される傾向があり、企業側が業務と学習内容のつながりを合理的に説明できれば許可されやすいとされています。一方で、まったく無関係な業務では不許可となる可能性が残るため、職務内容の整理や説明文の作成が実務上重要です。「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について

[共通]内定後に何から手続を始めれば良いですか?

内定後は、まず業務内容・勤務地・給与などを明記した雇用契約書(または内定通知書)を作成します。そのうえで、外国人が現在持つ在留資格に応じて、在留資格変更または在留資格認定証明書の申請準備を行います。職務内容が在留資格に適合していることを説明する採用理由書、会社概要資料、給与が日本人と同等であることを示す資料などを整え、入管へ申請します。

[共通]面接で聞いてはいけない質問はありますか?

外国人採用でも、日本人と同様にプライバシーや差別につながる質問は避ける必要があります。例えば、宗教、民族、婚姻・交際状況、家族構成、妊娠・出産予定、政治的信条などは業務適性と無関係なため面接で聞いてはいけません。また、将来の帰国予定について「帰らないといけない国の事情はあるか」など、在留に不安を与える聞き方も不適切です。業務内容・スキル・日本語能力に関する質問に限定して行うことが望まれます。

[共通]海外にいる外国人を直接採用できますか?

はい、海外在住の外国人も直接採用できます。ただし「技術・人文知識・国際業務」で在留資格を取得するために、学歴や実務経験、業務内容の適合性などを証明し、内定後に「在留資格認定証明書(COE)」の申請が必要です。COE交付後、現地の日本大使館・領事館でビザを取得し入国します。手続きや書類準備は精度が重要です。

[共通]派遣社員として受け入れることはできますか?

はい、派遣社員として受け入れることは可能ですが、注意点があります。技術・人文知識・国際業務は「派遣先で行う業務内容」と「本人の学歴・経験」が適合していることが必須です。また、派遣元会社が雇用主となり、社会保険加入や労働条件の明示、在留資格更新時の書類作成などの責任を負います。派遣先が単純作業をさせると在留資格違反となるため、職務内容の管理と説明責任が重要です。

[共通]給与水準に決まりはありますか?

はい、給与水準には実質的な基準があります。「技術・人文知識・国際業務」の在留資格では、外国人だからといって日本人より低い給与にすることは認められていません。業務内容や経験に応じて「同等の日本人と同程度以上」の給与である必要があります。また、社会保険・源泉所得税など法令に沿った処理も必須です。給与が不当に低い場合、在留資格が不許可となる可能性があります。

入国前手続

[海外]在留資格認定証明書(COE)とは何ですか?

在留資格認定証明書(COE)は、海外にいる外国人が日本で就労するための在留資格を取得できる見込みがあることを、日本の入管が事前に確認したことを示す書類です。企業が受け入れ予定の外国人の学歴・職務内容・雇用条件などを入管に申請し、許可されるとCOEが発行されます。外国人はそのCOEをもって現地の日本大使館・領事館でビザ申請を行い、入国後に在留カードが交付されます。

[海外]COE申請に必要な書類は?

COE申請には、企業側と本人側の書類が必要です。企業側は会社概要書、直近の決算書、雇用契約書、業務内容を示す資料などを提出します。本人側はパスポート写し、履歴書、卒業証明書や成績証明書、職務経歴書など、学歴・経験を証明する書類が求められます。業務内容と学歴・経験の関連性を示す説明書も重要です。

[海外]COEの審査期間はどのくらいですか?

在留資格認定証明書(COE)の審査期間は、通常1~3か月程度とされています。ただし、提出書類の不備や業務内容と専攻の関連性の確認に時間を要する場合、より長くなることがあります。また、繁忙期(4月入社前など)や追加資料の要求があった場合も延びる可能性があります。また、管轄する地方入国管理局の混み具合によっても大きく異なります。余裕をもって早めに申請準備を進めることが重要です。にしやま行政書士事務所

[海外]在留資格変更申請とCOE申請の違いは?

在留資格変更申請は、既に日本国内に在留している外国人が、現在の在留資格から「技術・人文知識・国際業務」へ切り替える手続です。一方、在留資格認定証明書(COE)申請は、海外にいる外国人を日本へ呼び寄せるために行う手続で、交付後に現地の日本大使館等でビザ申請を行います。つまり、国内にいる場合は「変更申請」、海外から呼ぶ場合は「COE申請」を使い分けます。

[共通]申請は会社が行う必要がありますか?

在留資格認定証明書(COE)による「認定申請」は、原則として受入企業が“代理人”として申請します。一方、日本国内で行う「在留資格変更申請」や「在留期間更新申請」は、申請者本人が行う手続です。ただし、いずれの場合も企業側が作成・提出に必要な書類(会社概要、業務内容、雇用契約書など)が多いため、実務上は企業が準備を支援することが基本となります。行政書士等に委任することも可能です。

[共通]入国前に住居を手配する必要はありますか?

入国前に住居の手配は法的義務ではありませんが、スムーズな受入れのためには事前に住まいの確保を検討することが望ましいです。特に来日前に住居が決まっていないと、到着後の生活立ち上げに時間がかかり、勤務開始が遅れることもあります。会社名義で契約する、先に仮住まいを用意する、または不動産会社との連携を進めるなど、早めの段取りが重要です。

[共通]航空券代を会社が負担する必要はありますか?

在留資格「技術・人文知識・国際業務」の場合、航空券代を会社が負担する法的義務はありません。本人負担としても問題なく、制度上のルールでも負担者は明確に定められていません。ただし、海外採用では、会社が渡航費を一部または全額負担することで入社の確実性やスムーズな来日につながることがあります。契約書や求人票には、負担者を事前に明記しておくことが望ましいです。

[共通]日本での健康保険加入はいつからですか?

入社日(雇用契約開始日)から日本の社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が必要です。会社に常勤で働く場合は国籍に関係なく適用され、在留カードの有無や申請中であっても、原則として勤務開始日から資格取得届を提出します。保険証は後日交付されるため、それまでの医療機関受診時は、一時立替払い後に還付請求が可能です。

[共通]銀行口座はいつ作れますか?

銀行口座は日本に入国し在留カードを受け取り、住所を住民登録した後に作成できます。多くの銀行では「在留カード」「住民票」「本人確認書類」が必要です。入国直後は口座がないため、給与支払日までに開設できるよう、入社後早めに同行支援や通訳支援を行うとスムーズです。

[共通]家族帯同は可能ですか?

家族帯同は可能です。在留資格「家族滞在」を家族が取得する必要があり、本人の収入が生活を支えられる水準であることや、適切な住居があることが審査されます。帯同は自動ではなく、別途家族の一員ごとに申請が必要です。

就労開始

[共通]誓約書を書いてもらった方がよいですか?

外国人を技術・人文知識・国際業務で採用する際、誓約書は任意ですが、入管法上の義務を明確に理解してもらうために有効です。特に「在留カード携帯義務」「氏名・住所・勤務先変更時の届出」「在留資格の範囲内での業務従事」「無断転職・離職禁止」などを記載し、遵守を約束してもらうことで、不適正就労や不許可リスクを防ぐことができます。内容は説明と併せて丁寧に行うことが重要です。外国人の在留資格・在留申請にまつわる話

[共通]在留カードはどこで受け取りますか?

在留カードは原則として日本入国時の空港(成田・羽田・中部・関西などの主要空港)で受け取ります。事前に在留資格認定証明書(COE)に基づいて査証(ビザ)を取得し、入国審査で提示すると、その場で在留カードが交付されます。地方空港など一部では後日、居住地の市区町村で住民登録後に郵送で受け取る場合もあります。外国人の在留資格・在留申請にまつわる話

[共通]雇用保険への加入は必要ですか?

外国人を「技術・人文知識・国際業務」で採用する場合、雇用保険への加入は、日本人と同様に必要です。週所定労働時間が20時間以上あり、31日以上の雇用見込みがある場合は国籍に関係なく加入対象となります。入社日から「雇用保険資格取得届」を提出します。雇用保険に加入しておくことで、失業給付や教育訓練給付などの制度を利用でき、本人の生活安定と企業の適正な労務管理につながります。雇用保険被保険者資格取得届

[共通]社会保険加入は義務ですか?

はい、原則として義務です。技術・人文知識・国際業務で雇用する外国人は、一般の正社員等と同様に、会社が社会保険(健康保険・厚生年金)および雇用保険へ加入させる必要があります。週の所定労働時間が正社員の概ね4分の3以上の場合は加入が必須です。また、一定要件を満たせば、4分の3未満でも社会保険加入対象となる場合があります。日本人か外国人かによる取扱いの違いはありません。就職したとき(健康保険・厚生年金保険の資格取得)の手続き

[共通]労働条件通知書は必要ですか?

はい、労働条件通知書(または雇用契約書)の交付は必須です。

これは労働基準法に基づき、日本人・外国人に関わらず全ての労働者に対して、賃金や労働時間などの主要な労働条件を書面で明示することが事業主に義務付けられているためです。

また、「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格を申請する際にも、入管(出入国在留管理庁)への提出書類として必要となります。言語の理解不足によるトラブルを防ぐため、外国人労働者が内容を十分に理解できるよう、日本語と併せて母国語等での書面を交付することが望ましいです。 一般労働者用モデル労働条件通知書

[共通]就業規則は外国人にも適用されますか?

外国人かどうかに関わらず、従業員数10人以上は就業規則の作成・届出が必要です。モデル就業規則について

[共通]試用期間中でも在留資格を取得する必要はありますか?

はい、試用期間中であっても、就労を許可する在留資格は必要です。

これは、外国人の方が日本国内で働くためには、その業務内容に合った有効な就労系の在留資格を所持していることが前提となるためです。試用期間中も通常の労働契約に基づく業務活動であることに変わりはなく、無許可で働かせることは不法就労にあたります。

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は、雇用契約を締結した上で、業務内容や本人の経歴等を総合的に審査されて許可されるものです。

海外から採用する場合: 来日前に「在留資格認定証明書」を取得し、その証明書に基づいてビザ(査証)を発給してもらい、適切な在留資格で入国する必要があります。

日本国内で他の在留資格から変更する場合(例:留学生): 就労を開始する前に、現在の在留資格から「技術・人文知識・国際業務」への「在留資格変更許可申請」を行い、許可を得る必要があります。

在留資格がない状態で試用期間として働かせることはできません。

[共通]転居した場合は届出が必要ですか?

はい、必要です。住所が変更されたら14日以内に「住居地届出」を行う必要があります。本人が市区町村窓口またはマイナポータル等で届け出ます。届出を怠ると、将来の在留期間更新や永住許可審査に不利となる可能性があります。雇用主としては、転居の事実を把握した際に、本人へ届出を確実に行うよう周知・フォローすることが望ましいです。

[共通]出退勤管理は必要ですか?

出退勤管理は日本人と同様に必要です。労働基準法により、労働時間・休憩・休日を適切に管理しなければならず、在留資格の要件としても「適正な労働条件の維持」が求められます。タイムカード、ICカード、勤怠システム、紙の出勤簿など形式は問いませんが、実態が正確に記録できる方法を用いることが重要です。不適切な管理は残業代未払いなどのトラブルや在留更新に影響する可能性があります。

[共通]研修は必要ですか?

入社時研修は日本人と同様に必要です。法律上、外国人だから特別な追加研修が必須というわけではありませんが、業務内容や就業ルール、安全衛生、社内コミュニケーション方法などを明確に説明することが重要です。特に文化や職場慣行の違いによる誤解を防ぐため、言語や資料を工夫した分かりやすい研修が望まれます。

[共通]残業代は支払う必要がありますか?

残業代は日本人と同様に支払う必要があります。労働基準法は国籍に関わらず全ての労働者に適用され、所定労働時間を超えて働いた場合は割増賃金(通常25%以上、深夜・休日はさらに割増)を支払う義務があります。「月給に残業代を含む」とする場合でも、就業規則や雇用契約で明確なみなし残業時間と超過分の追加支払いが必要です。不払いや管理不備はトラブルや在留更新に影響する可能性があります。

在留中

[共通]職務内容を変更しても良いですか?

はい、職務内容の変更は可能ですが、在留資格の「該当性」を保つことが重要です。「技術・人文知識・国際業務」は、専門性を要する事務・企画・翻訳・営業等のホワイトカラー業務が対象であり、単純作業や現場作業が中心になると在留資格に適合しなくなります。大きな変更を行う場合は、変更内容が資格範囲内か確認し、必要に応じて「在留資格変更許可申請」または入管への届出を検討することが必要です。

[共通]勤務地を変更する場合の届出は?

外国人を「技術・人文知識・国際業務」で採用している場合、勤務地の変更があれば入管へ「所属機関等に関する届出」を提出する必要があります。特に、事業所の所在地が変わる、他支店へ転勤するなど、就労先の場所が変わる場合が対象です。届出は本人または会社が行い、異動の日から14日以内に提出します。提出方法はオンライン、郵送、窓口が利用できます。届出を怠ると在留期間更新に不利となる可能性があります。所属(契約)機関に関する届出

[共通]副業はできますか?

外国人を「技術・人文知識・国際業務」で採用する場合、副業は条件付きで可能です。ただし、副業の内容が在留資格の活動範囲(専門性のある事務・企画・翻訳・国際業務等)に適合している必要があります。アルバイトや単純作業など、本来の在留資格に該当しない業務を行うと資格外活動となり違法となります。副業を行う場合は、業務内容が適合するか確認し、必要に応じて「資格外活動許可」の申請を検討することが重要です。

[共通]在留期間の更新時に必要な書類は?

在留資格「技術・人文知識・国際業務」の更新時は、原則として①在留期間更新許可申請書、②パスポート・在留カード、③雇用契約書(労働条件通知書)、④会社の登記事項証明書や決算書、⑤給与支払実績(給与明細・源泉徴収票等)などが必要です。ただし、前回の許可後に転職している場合は、職務内容・待遇が在留資格要件に適合しているかを改めて審査されるため、事実上「在留資格変更許可申請」と同等の資料を求められることがあります。特に会社概要、業務内容の説明書、配置図、役割分担などを丁寧に添付し、専門性のある業務であることを明確にすることが重要です。

[共通]更新申請はいつからできますか?

在留資格「技術・人文知識・国際業務」の更新申請は、在留期限の3か月前から手続きが可能です。更新は原則として本人が行いますが、会社は雇用契約書や会社概要資料の準備などで協力します。期限ぎりぎりになると、審査中に在留期限が到来してしまう可能性があるため、できるだけ早めに準備を開始することが望ましいです。なお、在留期限が切れる前に申請すれば、審査中も引き続き合法的に就労できます。

[共通]在留期間更新許可申請時に評価面談や成績資料は必要ですか?

在留資格「技術・人文知識・国際業務」の更新申請では、評価面談記録や成績評価表は必須ではありません。ただし、更新審査では「業務内容が継続しているか」「待遇が適正か」「専門性に基づいた職務が行われているか」が確認されます。そのため、企業として人事評価制度がある場合は、評価シートや業務報告書などを任意提出することで、継続的な就労実態を明確にでき、審査上有利になる場合があります。差し支えなければ、提出を検討するとよいでしょう。

[共通]「家族滞在」として在留している家族は働けますか?

「家族滞在」の在留資格で日本にいる家族は、そのままでは就労できません。ただし、希望する場合は「資格外活動許可(週28時間以内)」を申請し、許可を得ればコンビニ・飲食店など一般的なアルバイトが可能になります。ただし、風俗関連業など一部の業種は禁止されています。また、フルタイムで働く場合や専門職として働く場合は、「技術・人文知識・国際業務」など就労系の在留資格に変更する必要があります。許可の有無に注意して就労管理を行うことが重要です。

[共通]会社が吸収合併された場合は?

会社が吸収合併された場合でも、外国人本人の在留資格「技術・人文知識・国際業務」は直ちに無効になるわけではありません。ただし、雇用先(所属機関)が変わるため、入管へ「所属機関に関する届出」を14日以内に提出する必要があります。また、合併後も業務内容・報酬・労働条件が従前と同程度であることが重要です。職務内容が大きく変わる場合や単純作業中心になる場合は、在留資格の適合性が問題となるため、事前に確認が必要です。

[共通]長期出張は認められますか?

在留資格「技術・人文知識・国際業務」の外国人は、長期出張自体は認められますが、出張先で行う業務が在留資格の範囲内であることが前提です。国内出張の場合は、業務内容が変わらなければ問題ありませんが、実質的に勤務地が恒常的に移る場合は「所属機関に関する届出(14日以内)」が必要になる場合があります。海外出張の場合は、帰国時にみなし再入国許可の利用や在留期限内の再入国が重要です。また、海外に長期滞在しすぎると「日本に生活拠点がない」と判断され、更新や永住に不利となる可能性があります。出張期間・業務内容・再入国手続を会社と本人で適切に管理することが必要です。

[共通]給与は日本人と同等以上である必要がありますか?

はい、在留資格「技術・人文知識・国際業務」で外国人を採用する場合、給与は日本人と同等以上であることが求められます。入管は「外国人であることを理由に不当に低い待遇で雇用していないか」を審査します。そのため、同じ業務・同じ役割を担う日本人と比べて、著しく低い給与や処遇になっている場合、在留資格の許可や更新に影響します。給与額は求人票や雇用契約書に明示し、説明可能な水準で設定することが重要です。

[共通]外国人社員が単純労働に携わっていた場合、そのことを知らなかったとしても罪に問われる可能性はありますか?

外国人を技術・人文知識・国際業務で採用したにもかかわらず、実際には単純労働に従事させていた場合、経営者や管理者が「知らなかった」と主張しても、不法就労助長罪に問われる可能性があります。入管法では、在留資格と業務内容の整合性を確認する義務が企業側にあると解されており、注意を尽くしていなければ「少なくとも認識し得た」と判断されることがあります。したがって、職務内容の管理・確認体制を整えることが重要です。外国人の在留資格・在留申請にまつわる話

[国内]「技能実習」から「技術・人文知識・国際業務」への在留資格変更許可申請は認められますか?

技能実習制度は実習修了次第母国に帰国することが前提であるので、原則認められません。(例外あり)外国人の在留資格・在留申請にまつわる話

退職・帰国

[共通]退職した場合の会社の届出義務にはどんなものがありますか?

外国人が「技術・人文知識・国際業務」で退職した場合、会社には入管への届出義務があります。具体的には、「所属機関に関する届出」を退職日から14日以内に提出します(オンライン・郵送・窓口いずれも可)。届出内容は、退職日・退職理由・会社情報などです。届出を怠ると、会社側に指導が入る可能性があるほか、本人の次回の在留期間更新や転職手続に影響する場合があります。雇用保険や社会保険の資格喪失手続とあわせて、速やかに対応することが重要です。所属(契約)機関に関する届出

[共通]退職した場合の外国人本人の届出義務にはどんなものがありますか?

外国人本人が「技術・人文知識・国際業務」で働いていた会社を退職した場合、本人にも入管への届出義務があります。具体的には、「契約機関に関する届出」を退職日から14日以内に提出します(オンライン、郵送、または入管窓口で提出可能)。届出内容は、退職日や前勤務先の名称などです。これは、入管が在留状況を適切に把握するための手続であり、届出を怠ると将来の在留期間更新や転職先での手続に不利となる場合があります。退職後は速やかな届出が重要です。契 約 機 関 に 関 す る 届 出

[共通]外国人本人が退職すると在留資格はどうなりますか?

外国人が「技術・人文知識・国際業務」で勤務していた会社を退職しても、在留資格はすぐに失効しません。ただし、退職後は本人が14日以内に「契約機関に関する届出」を入管へ提出する必要があります。転職活動中であっても一定期間は在留可能ですが、3か月以上就労先がない状態が続くと、活動実態がないと判断され、在留資格取消の対象となる可能性があります。そのため、速やかに次の就職先を探すことが重要です。一方、帰国する場合は、航空券手配や退去時手続に加え、出国前に市区町村で転出届、健康保険・年金の脱退手続などを行い、在留カードを出国審査の際に返納します。退職後の行動は、転職するのか帰国するのかで手続が異なるため、会社としても外国人本人と丁寧に確認・支援することが望まれます。

[共通]有給休暇は外国人にも適用されますか?

はい、有給休暇(年次有給休暇)は外国人にも日本人と同様に適用されます。労働基準法は国籍に関係なく、同じ労働条件を満たす労働者に対して有給休暇を認めています。具体的には、雇い入れから6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合に付与されます。付与日数も勤続年数に応じて増えていきます。したがって、外国人を「技術・人文知識・国際業務」で採用する場合も、日本人と同じ休暇制度を就業規則や労働条件通知書で明確に示すことが重要です。

[共通]帰国費用は会社が負担する必要がありますか?

帰国費用については、「技術・人文知識・国際業務」で採用する場合、法律上、会社が必ず負担しなければならない義務はありません。雇用契約の終了や自己都合退職の場合は、基本的に本人負担となります。ただし、会社都合での帰国や、採用時に会社が費用負担を約束している場合は、会社が負担することが一般的です。費用負担の取り決めは、トラブル防止のため、雇用契約書やオファーレターで明確にしておくことが重要です。

[共通]社会保険の脱退手続は必要ですか?

はい、必要です。外国人であっても日本で雇用され社会保険に加入していた場合、退職時には日本人と同様に社会保険の資格喪失手続を行います。会社は退職日の翌日を資格喪失日として「健康保険・厚生年金保険 資格喪失届」を年金事務所へ提出します。また、雇用保険に加入していた場合は「雇用保険資格喪失届」をハローワークへ提出します。本人が本国に帰国する場合は、脱退一時金の手続きが可能な場合があるため、あわせて説明すると親切です。

[共通]年金の脱退一時金は受け取れますか?

はい、一定の条件を満たせば受け取れます。外国人が日本で厚生年金に加入して働いた後、帰国して日本に住所がなくなり、年金を受け取る資格期間を満たさない場合、「脱退一時金」を請求できます。原則、最後に資格喪失した日から2年以内に申請が必要です。ただし、将来再入国して再び年金に加入する予定がある場合は、脱退一時金を請求すると加入期間がリセットされるため、注意が必要です。

[共通]住民税はどうなりますか?

退職後の住民税は、外国人であっても日本人と同様に納付義務があります。住民税は「前年の所得」に基づき「翌年6月から翌々年5月まで」課税されるため、退職後や帰国後であっても、該当期間の住民税が残る場合があります。会社での給与天引きが終了するため、多くの場合は「納付書」が本人または日本国内の住所宛に届き、本人が直接納付します。帰国する場合は、納税管理人を日本に指定しておく必要があります。

[共通]退職証明書は発行すべきですか?

はい、発行すべきです。退職証明書は労働基準法により、労働者が請求した場合、会社は遅滞なく発行する義務があります。外国人であっても日本人と同様に対象です。記載内容は「在職期間」「業務内容」「退職理由」など必要な項目に限られ、本人の不利益になる不要な記載は避けます。退職証明書は、転職先での在留資格変更や更新手続きに必要となることもあるため、スムーズな発行が重要です。

[共通]帰国後も会社から連絡する場面はありますか?

はい、あり得ます。退職後に帰国した場合でも、住民税の未納分の案内や、厚生年金の脱退一時金手続きに関する説明など、会社または元従業員間で連絡が必要となる場面があります。また、入管への「契約終了届」提出後に確認事項が発生することもあります。特に住民税は翌年に納付書が届くため、帰国前に「納税管理人」を日本に置いてもらうとスムーズです。連絡手段と連絡先は退職前に確認しておくことが重要です。