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移民専門家、移民削減に関するジャスティン・トルドー首相の説明を精査

公開日
2024-11-24
メディア
The Conversation
記事要約
カナダのジャスティン・トルドー首相は、移民数を20%削減する計画を発表し、動画でその背景を説明しましたが、この内容には問題の責任を他者に転嫁しているとの批判が寄せられています。

カナダの人口は近年急増しており、特に国際学生や労働者といった一時的な滞在者がその主因とされています。トルドーは多くの一時滞在者が帰国すると述べましたが、実際には多くがカナダに留まり、永住権を取得する「二段階移民システム」の一環として活用されています。このシステムは国際学生や労働者を積極的に受け入れる一方で、政治的な発言では住宅危機の原因として一時滞在者が非難され、学業や労働ビザの制限が進められています。それでもこのシステムは移民政策の中心的な役割を果たしており、多くの滞在者がカナダに定住することを期待しています。

また、トルドーは大学や専門学校が国際学生から高額な授業料を徴収し利益を上げていると批判しましたが、この問題の背景には、1970年代以降の高等教育への公的資金削減があり、政府自身の国際学生を促進する政策も影響しています。この批判は教育機関への責任転嫁との指摘があります。

さらに、トルドーは一部の一時滞在者が難民申請を「抜け道」として利用しているとし、失敗した申請者は送還されると述べました。しかし、これにより、カナダが招き入れた移民が生活基盤を築いた後に滞在の道を絶たれるという現状が無視されています。このため、書類不備の移民が増え、彼らが不安定な生活を余儀なくされる可能性があります。

トルドーの計画は、移民政策の複雑な課題を単純化し、問題をすべて他者に押し付ける形になっています。将来、この計画が維持されるかは不明ですが、野党党首のピエール・ポワリエーヴル氏は移民を雇用や住宅供給に結び付けるといった曖昧な提案をしています。トルドーの取り組みは、移民政策への信頼をさらに損なうリスクを抱えています。
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