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スペインは新たな移民政策の可能性を示している

公開日
2026-01-31
メディア
JACOBIN
記事要約
スペイン政府は、不法滞在状態にある移民を対象とした大規模な正規化措置を政令で承認した。これにより、50万人以上、最大で80万人規模の人々が在留資格を得る可能性がある。対象となるのは、2024年12月31日以前に入国し、少なくとも5か月以上滞在しており、犯罪歴のない外国人で、手続きが完了すれば1年更新可能な居住許可が与えられる。正規化手続きは4月から6月にかけて実施され、自治体の住民登録や医療記録、賃貸契約書などで滞在実績を証明する。

この措置は、移民や反人種差別団体が主導した「Regularization Now(今すぐ正規化)」キャンペーンの成果であり、70万人を超える署名が集められた。移民規制を強化する欧米の潮流とは逆行する決定として、国際的にも注目されている。

背景には、スペインの移民制度が多くの労働者を長期間不安定な立場に置き、基本的な権利から排除してきた現状がある。宿泊・飲食業や建設業では移民労働者の比率が高く、大学教育を受けた移民が資格に見合わない仕事に就いているケースも多い。過去には社会党政権や保守政権の下でも大規模な正規化が行われ、社会保障制度への参加が進んだ前例がある。

今回の決定は、コロナ禍を契機に始まった市民運動の継続的な圧力、左派政党や教会の支持、そして政権が直面する政治的困難が重なって実現した。一方で、極右政党は法的措置や抗議行動を表明しており、保守党も欧州レベルでの批判を示している。

この正規化措置は、移民を社会の一員として包摂する別の選択肢を示すものであり、反移民的な言説が広がる欧州や米国に対する実践的な反例となる可能性がある。
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