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雇用ブームが引き起こすスイスの移民問題

公開日
2024-11-26
メディア
ロイター
記事要約
スイスは、低税率を基盤とするビジネスモデルによる経済成長とそれに伴う雇用の増加により、EUからの移民の急増に直面しており、これが政治的な議論を引き起こしています。この問題は、2021年に約3380億ドル規模の貿易を規定するルールの改定交渉を頓挫させた要因となり、2024年に再開された交渉にも影響を与えています。

スイス政府は、EUとの新たな協定に移民を制御する「保護条項」を盛り込むことを目指しています。1999年にEU単一市場への自由なアクセスを獲得して以来、スイス経済はドイツ、オーストリア、フランス、イタリアといった隣国を上回る成長を遂げており、平均賃金も上昇しています。しかし、その結果として人口も急増し、1995年には700万人だった人口が現在では900万人を超えています。

右派のスイス国民党は、インフラの逼迫や家賃の高騰を防ぐため、2050年までに人口を1000万人以下に抑える法律を制定するよう求めています。しかし、このままのペースでは早期にその数値を超えると予測されています。

スイス政府は、移民が労働市場への参加を目的とし、福祉制度への依存を防ぐことを重視していますが、自由な人の移動がEU単一市場の基本原則であるため、移民制限を正式に認めることは難しいとされています。ただし、双方が妥協点を見つける可能性は高いと外交官は見ています。

スイスは移民への依存度が非常に高く、人口の27%が外国人であり、EU平均の4倍以上です。また、多くの企業が低税率を求めてスイスに拠点を移しており、これがEU諸国の税基盤を奪っているとの批判もあります。移民を減らすためには、スイスが資本を引き寄せる政策を見直す必要があるという声も上がっています。
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