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カナダの移民政策には一貫性が不足している

公開日
2025-11-06
メディア
The Conversation
記事要約
カナダは世界的に人気の移住先であるが、2024年に受け入れた永住者は約48万人にとどまり、需要に比べて少ない。住宅不足や公共サービスへの負担増、国民の反発などを受け、今後は受け入れ数が減少する見通しである。

問題は受け入れ数そのものより、政策の「予測不可能性」にある。2022年以降、政府は労働需要に応じた柔軟な選考制度を導入したが、優先職種が頻繁に変わり、選考基準や募集枠の明確性・一貫性が欠けている。そのため、移住希望者は長年準備しても、突然の基準変更で計画が崩れることがある。

カナダ国内でも、約300万人の一時滞在者(留学生や外国人労働者など)が永住を望みつつ、不安定な制度の下で生活している。留学生は高額な学費を払っても、政策変更により永住への道が閉ざされる場合がある。同様に、労働需要に応じて働いても永住権への道が急に狭まることがある。

制度の不安定さは、移民制度が「努力ではなく運に左右される」との印象を生み、信頼を損なうだけでなく、虚偽の職歴や不正な就労あっせんなどの不正行為を助長する。

一方、カナダは人口高齢化が進んでおり、労働力と経済成長を維持するうえで移民は不可欠である。移民は長期的には税負担もプラスで、起業やイノベーションにも貢献する。

持続可能な制度のためには、①明確で一貫した基準、②実現可能なスケジュール、③透明性ある情報発信が必要である。特に、永住資格は「運」ではなく、カナダでの実績・能力・努力に基づくべきだと結論づけている。
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