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米国の将来の労働力規模に移民が及ぼす影響:見過ごされているものとは

公開日
2024-11-29
メディア
Migration Policy Institute
記事要約
2024年の米国選挙では移民問題が重要な争点となり、米墨国境での記録的な移民流入や政治的分断が背景にある。かつて移民は米国にとって肯定的な力とみなされていたが、最近の調査では過半数が移民削減を支持している。一方で、議会予算局の分析では、移民の増加が経済成長を促進し、財政赤字やインフレの抑制に寄与するとされている。しかし、移民の流入は公共サービスに負担を与えているのも事実である。

過去の1920年代の反移民運動との類似性も指摘されるが、現在の米国は出生率の低下と高齢化が進行し、労働力人口の減少が問題となっている。高齢化率は1920年の8%から2023年には29%に達し、2040年には37%に達する見込みで、労働者一人あたりの負担が増している。

移民は多くの場合、若い労働力として到着し、年齢依存比率を改善する。また、移民の子供たち(第二世代)が成人し労働市場に参入することで、長期的な効果が期待される。2023年現在、移民およびその子供たちは米国総人口の27%を占め、2040年までには第二世代の労働人口が64%増加すると予測されている。一方で、移民にルーツを持たない労働年齢層は減少が見込まれており、移民第二世代の成長が労働人口維持に不可欠とされる。

移民政策のシナリオによって労働年齢層の人口は大きく変動し、2040年にはゼロ移民シナリオで1850万人、現在の水準で3730万人、高移民シナリオで4670万人となる。移民削減は労働力不足を深刻化させ、社会保障や医療制度にも悪影響を与える恐れがある。

また、移民の受け入れとその子供たちが直面する環境を考慮した政策が重要であり、移民の数と質を経済・人口動態のニーズに合わせる入念な改革が求められている。
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