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病院は医療従事者と移民エージェントの対立の場となる

公開日
2025-12-19
メディア
OnLabor
記事要約
この記事は、2025年初頭に米国で連邦政府がそれまで制限していた病院やクリニックなどの「センシティブな場所」への移民取締りアクセスを撤廃したことを背景に、病院が医療従事者と移民取締当局(ICE:Immigration and Customs Enforcement)の対立の現場になっている状況を報告しています。

これまで病院や医療施設は、患者の安全や治療が最優先とされる場所として、移民取締りの対象外とされてきました。しかし新政策により、ICEは裁判所の令状なしに病院ロビーなどの共有空間に入り、患者やスタッフに接触することが可能となり、患者のプライバシー侵害や治療妨害という事態が増加していると指摘されています。

具体例として、ICEがとある病院で患者を治療中の医師から引き離したり、身分証の提示を拒否したまま患者の逮捕を進めたりする事例が紹介されています。また、移民取締りの場面で医療従事者が患者の治療を続けようとすると、連邦刑法で「連邦職員業務妨害」や「不法滞在者の隠匿」の罪に問われる可能性がある点も大きな緊張の原因になっています。

なお、現行法ではICEが裁判所令状なしに患者の治療室など私的空間へ入ることは原則禁止されているものの、多くのケースで令状の提示を求めた際に暴力的対応が起きるなど、実効性のある歯止めが機能していないとされています。

記事では、この問題に対応するために議会で「センシティブな場所保護法案」(Protecting Sensitive Locations Act)の成立を目指す動きがあること、また各看護師組合や医療労組が患者と医療スタッフを守るための内部方針作成や研修、弁護士やホットラインへの通報体制の構築などの取り組みを進めていることも述べられています。

まとめると、この記事は、移民取締りが従来「治療と救命が優先される場」とされてきた医療現場にまで拡大した結果、医療の中立性と患者の権利が侵害されつつあり、医療従事者とICEの間で新たな対立が生まれているという深刻な状況を警鐘として伝えています。
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