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移民と介護:高齢化するベビーブーマー世代を誰が介護するのか?

公開日
2025-09-18
メディア
Center for Retirement Research
記事要約
アメリカでは出生率の低下とベビーブーマー世代の大量退職により労働力不足が深刻化しており、それを支えているのが移民だ。2000年から2022年の間に、働き盛りのアメリカ生まれの人口はわずか290万人しか増えなかったのに対し、同年代の移民は770万人増加した。これに対して65歳以上の高齢者は1800万人増加しており、介護需要が急増している。

中でも、移民は高齢者介護分野で重要な役割を果たしており、直接的な長期介護労働者の約28%を占めている。その多くは帰化した市民だが、非市民の割合も大きい。

しかし、トランプ前政権による移民制限政策により、今後多くの非市民移民が就労資格を失う見込みだ。DACA、仮保護ステータス(TPS)、パロール(アフガニスタンやウクライナ出身者)などの一時的な滞在資格を持つ移民も多く、今後の就労継続が危ぶまれている。また、非正規移民も介護に従事しているが、取り締まりを恐れながらも生活のために働き続けている。

介護職の担い手が必要とされる中、制度によってその供給が制限されている。今後6年で最年長のベビーブーマーが85歳に達し、介護ニーズが急増する。また、85歳以上の人口比率は今後20年で約10%から20%へと倍増する見込みだ。

つまり、介護労働者の需要が高まっているこのタイミングで、移民制限によってその供給が抑制される現状は、深刻な人手不足と介護危機を招く可能性がある。
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