世界の移民・難民
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イタリアを見れば、「再移民」という危険な考えがヨーロッパでいかに根付いているかがわかる。

公開日
2026-02-26
メディア
The Guardian
記事要約
フランスの反移民政治家エリック・ゼムールは、イギリスの極右活動家トミー・ロビンソンとの会談で「政治は人口動態に打ち勝たなければならない」と述べ、イスラム系人口の増加を背景に、欧州が「消滅」するまで残された時間は10~20年だと主張した。彼らが掲げる解決策が「リマイグレーション(再移民)」であり、これは特にイスラム系を念頭に置いた大規模送還によって少数派人口を削減する構想である。

ゼムールは2022年仏大統領選で「再移民省」の創設と100万人の送還を公約に掲げたが、実際には犯罪者と非犯罪者、長期居住者と新規移民、合法滞在者と非正規滞在者の区別が曖昧にされがちである。

こうした言説の拡大は、欧州における極右勢力の台頭と密接に関係している。ジョルジャ・メローニ率いるイタリアの「イタリアの同胞」やマリーヌ・ルペンの国民連合など、政権に近づいた右派勢力は穏健化したと批判され、そのさらに右側に位置する勢力が「再移民」のような過激な政策を前面に押し出している。しかし、再移民が公然と議論されていること自体、極右が政治的主導権を握りつつある証左でもある。

ドイツではAfD(ドイツのための選択肢)が再移民を掲げ、世論調査で首位に立っている。党綱領からは違憲判断を受けて用語が削除されたが、関連政治家はオーストリアの民族主義者マルティン・ゼルナーらと関係を保っている。イタリアでは副首相マッテオ・サルヴィーニ率いる同盟がEU加盟国で初めて再移民を支持する与党となった。

イタリアでは極右元将軍ロベルト・ヴァンナッチが再移民を掲げて新党を結成し、さらなる右傾化の可能性を示している。メローニ政権は表現を和らげつつも、出生地主義(ius soli)を認めず、不法滞在者の送還強化や海上封鎖構想、EU域外への移民処理委託など、移民に対する厳格姿勢を維持している。

欧州各国でも市民権剥奪や社会保障制限など、移民の地位を不安定化させる政策が広がっている。英国ではReform UKが永住権制度の廃止を提案し、デンマーク型の一時的保護モデルも広がっている。

総じて、欧州政治は「統合」よりも「排除」へと軸足を移しつつあり、再移民のような極端な構想を唱える勢力は、少数派は「定着すべき存在ではない」と主張する余地を拡大していると筆者は指摘している。
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イタリア