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スイスの人口制限案について知っておくべきこと

公開日
2026-04-30
メディア
TIME
記事要約
スイスで、人口を2050年までに1000万人以下に制限する提案が注目を集めている。右派政党・スイス国民党(SVP)が主導するこの提案は、政府には一度否定されたものの、世論調査では支持が拡大しており、2026年6月14日の国民投票で審議される予定である。最新調査では賛成52%、反対46%となっている。

提案では、人口が950万人を超えた場合、政府は移民抑制策を講じなければならず、難民制度や永住許可の厳格化も含まれる。さらに人口が1000万人に達した場合には、EUとの「人の自由移動協定」の見直しや破棄が必要になる可能性がある。この協定は、EU市民とスイス国民が相互に居住・就労・不動産取得できる仕組みで、20年以上維持されてきた。

背景には、2000年以降に約190万人増加した急速な人口増加がある。現在スイスの人口は900万人を超え、約27%が外国籍住民である。SVPは「制御されない移民」が住宅価格上昇や公共インフラへの負担を招いていると主張している。

一方、反対派は、この提案がスイス経済やEUとの関係に深刻な悪影響を及ぼすと警告している。スイス政府や議会は反対を表明しており、EUとの自由移動協定が崩れれば、労働力不足や経済停滞につながると懸念している。

特に、医療・研究・サービス業など外国人労働者に依存する産業では人材不足が深刻化する可能性がある。スイスは出生率が低く、高齢化も進んでいるため、移民なしでは労働力維持が難しいという指摘もある。

また、難民制限についても、国際法上の「ノン・ルフールマン原則(迫害の危険がある国への送還禁止)」があるため、実際にどこまで制限できるかには限界があるとされる。

経済界は、「人は負担ではなく資産であり、イノベーションや経済成長を生み出す存在だ」として、人口上限政策に強く反対している。
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スイス