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“入管施設”で起こった「カメルーン人男性死亡事件」 高裁判決でも「国の過失」が認められる

公開日
2024-05-16
メディア
弁護士JPニュース
記事要約
2014年、茨城県牛久市の東日本入国管理センターで収容中のカメルーン人男性が死亡した事件について、男性の母親が国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁は一審の水戸地裁判決を支持し、国の過失を認めつつも因果関係は認めませんでした。男性は体調不良を訴え、翌朝に心肺停止状態で発見されましたが、施設職員は適切な対応をせず、救急搬送が遅れました。一審では、搬送が早ければ生存の可能性があったと判断されつつも、死亡との因果関係は証明できなかったため、国には165万円の賠償が命じられました。

高裁もこの判断を支持しましたが、遺族側の弁護士は、死亡の因果関係が認められなかった点について残念だと述べました。事件の背景には、施設内の監視カメラや警備員の対応の不備があり、男性が「死にかけている」と訴えていたにもかかわらず、警備員は異常に気付かず、救助が遅れました。入管施設内の状況が「ブラックボックス」となっており、立証責任が原告側に課されることに問題を感じる声もあります。

この判決は、入管関連の死亡事件で国の責任を認めた初めてのケースであり、今後、入管施設内での監視映像の記録が不十分になる可能性について懸念も示されています。
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