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大量強制送還は「悪い遺伝子」を排除しない - 偏った移民政策を正当化するために科学的人種差別を利用している

公開日
2025-01-13
メディア
The Conversation
記事要約
2024年以降の選挙後、アメリカでの大規模な強制送還の脅威が現実味を帯びています。一部の支持者は、移民が「悪い遺伝子」を持ち込み、アメリカを危険にさらすという主張をしていますが、これは科学の言葉を使って非科学的な主張に正当性を持たせようとする誤った考えです。移民がアメリカ市民よりも暴力的だという主張は、遺伝的な違いによるものだとされていますが、実際には移民の犯罪率は市民よりも低く、暴力的行動に対する遺伝的な根拠はありません。

遺伝学の専門家として、私は遺伝と偏見の交差点を研究しています。科学的本質主義(遺伝子が特定の性質や行動の原因であるという考え方)は、過去に人種差別を正当化するために使われてきました。例えば、暴力的行動に関する研究では、警察や刑事司法制度の差別的な慣行が結果に影響を与えることがあります。教育や経済の格差も遺伝学とは無関係に重要な影響を及ぼしています。

科学的人種差別(科学的人種主義)は、19世紀のサミュエル・モートンのような研究者が白人の優越性を証明しようとした例から続いています。しかし、人種間での遺伝的な違いが知能に関係するという証拠は全くありません。

アメリカの移民政策には、過去の優生学運動の影響が色濃く残っています。1924年の移民制限法は、人種に基づいて移民を差別し、「良い遺伝子」を持つ人々だけを受け入れようとしました。このような考え方は、現在でも「悪い遺伝子」を持つ移民を排除するという形で現れています。

遺伝学を悪用し、科学や歴史を無視して人種差別を正当化するような主張は、暴力を引き起こす原因となっています。科学を正しく理解し、歴史を学ぶことで、人々を守るために偏見を乗り越えることが重要です。
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