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国家は「堅牢な」移民審査を実施するのに苦労する可能性がある

公開日
2025-05-25
メディア
The Irish Times
記事要約
アイルランド政府の報告書によると、同国はEUの主要なセキュリティデータベースに十分にアクセスできないため、難民申請者の身元確認や審査を十分に行えない可能性があるという。

これは、2024年6月に施行されるEUの新たな移民・亡命に関する協定(EUパクト)に関する実施計画で明らかになった。アイルランドはこのパクトを採択しているが、シェンゲン協定に加盟しておらず、EUの「相互運用性フレームワーク」に含まれる以下の3つのITシステムにアクセスできない:

入退域システム(Entry/Exit System)

欧州渡航情報認証制度(ETIAS)

EUビザ情報システム(VIS)

これにより、他国との情報共有や入国審査、犯罪歴の確認などが困難になる恐れがある。

ただし、アイルランドはEUの指紋データベース「ユーロダック(Eurodac)」に参加しており、2025年6月までにアップグレードされる予定。6歳以上の子どものデータも含め、二重申請の防止や児童人身売買対策が目的。さらに、一部のシェンゲン情報システム(SIS)にも参加し、欧州逮捕令状の確認などを行っている。

また、EUのITシステムを管理するEU-Lisaと連携し、不法移民の特定や偽装身元の検出、国境管理の強化に取り組んでいる。

今後は、すべての難民申請者に対し、7日以内に健康・安全・犯罪歴などの審査を行い、バイオメトリックデータをユーロダックに登録する予定。

しかし、元アイルランド軍情報部長のマイケル・マーフィー氏は、英国との共通渡航圏(Common Travel Area)や北アイルランドとの越境に関する対策が不十分だと批判。「アイルランドの亡命制度は悪用されるリスクがあり、国境管理の欠如は国家の安全保障上の脅威だ」と警告している。
タグ
アイルランド