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英国のニュースや政治における移民に関する表現が「反人種差別主義への反発を形作っている」ことが判明

公開日
2025-08-02
メディア
The Guardian
記事要約
イギリスの人種平等シンクタンク「ラニーミード・トラスト」は、2019年から2024年の総選挙までの期間における移民に関するニュース記事約5万3千本と、議会での討論317件(計6,300万語以上)を分析した報告書を発表しました。この報告によると、英国のメディアや政治家による移民や人種に関する言葉の使い方は、反人種差別への反発や極右勢力の台頭を助長し、「反移民」的な社会環境を作り出していると指摘されています。

この研究では、特に「違法(illegal)」という言葉が、「移民(migrant/immigrant)」と結びつけて使われる頻度が過去10年間でさらに強まっており、移民のイメージが「違法性」と深く結びついてしまっていることが明らかになりました。

また、ニュース記事における「移民」に関連づけられた国籍や人種、宗教の分析では、「メキシコ人」が最も多く登場しており(主に米国の報道に関連)、次いで「中国人」や「インド人」がイギリス国内文脈で頻出しているとされています。他にも「アジア人」「アイルランド人」「ハイチ人」「ムスリム」「ユダヤ人」「非白人」「ベネズエラ人」「キューバ人」「アフリカ人」などが頻繁に言及され、メディアが移民を描く際には「人種的少数者」のイメージが強く喚起されると報告書は述べています。

一方、議会の発言においては、「違法」「純移民数(net)」「法案」「対策」「削減」など、管理や排除を連想させる言葉が移民と関連づけて用いられているとされています。ただし、ウクライナからの移民については、「ゲスト」「勇敢な」「共同体」「ディアスポラ」など、人間的で共感を呼ぶ表現が使われやすいという傾向も確認されました。

報告書はまた、政治家やメディアが「英国的価値観への脅威」として移民を語ることによって、より厳しい移民政策が正当化され、2024年夏に発生した暴動などに見られるような人種的暴力を助長していると警告しています。特に「ボートを止めろ(Stop the boats)」というスローガンが政治・メディア双方で多用され、2023年にピークを迎えたことが、一般市民の過激化に影響を与えているとしています。

内務省はこの件に関してコメントを控えており、住宅・地域・地方自治省は2024年8月のサウスポート襲撃事件後に発生した混乱を受け、「新たな地域の結束戦略」が必要だとし、全国75地域で15億ポンドの投資による対策を進めていると述べています。
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