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英国のホテルがいかにして激しい移民論争の火種となったか

公開日
2025-08-22
メディア
CNN
記事要約
ロンドン郊外エッピングのベル・ホテルは2020年から政府によって難民申請者の宿泊施設として使用され、138人が滞在している。しかし今年7月、同宿泊者のエチオピア人男性が14歳の少女への性的暴行などで起訴された事件をきっかけに、住民の不満が爆発。抗議デモが過激化し、一部は極右勢力に煽られる形で暴力的になった。

8月、高等法院は「ホテルが本来の用途で使われていない」として、ベル・ホテルでの難民宿泊を認めない判決を下した。これにより入居者は9月12日までに退去を余儀なくされる。ファラージ率いる右翼政党リフォームUKは「大勝利」と称賛し、全国の自治体に同様の訴訟を起こすよう呼びかけている。これが広がれば、政府の収容能力は一気に逼迫する恐れがある。

現在、イギリスでは約210のホテルに3万2千人の難民申請者が滞在しており、政府は2029年までにホテル利用を段階的に廃止する方針を掲げるが、今回の判決は方針実現を難しくする。自治体による訴訟が続けば、収容先の確保はさらに困難となる。

地域住民の間では「治安が悪化した」との声が強まる一方、無実を訴える難民らは偏見や差別に直面している。ソマリア出身の男性は「犯罪者ではなく社会に貢献できることを証明したい」と語るが、次の滞在先がホテルであれ別施設であれ、同じ困難に直面すると感じている。
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