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マフムード氏の移民計画は労働党の公約を破る

公開日
2025-11-21
メディア
Human Rights Watch
記事要約
英国政府が難民保護制度を大幅に見直そうとしていることにより、すでに保護を認められた難民までもが将来を失い、不安定な立場に追い込まれている。シャバナ・マフムード内相の新たな庇護・送還方針は「秩序の回復」と説明されているが、実際には人道性と法的義務を後退させ、難民の保護を一時的で条件付きのものにし、帰属意識も「獲得すべきもの」へと変質させる内容である。

中心となる改革は、難民認定者に30か月の「一時的保護」しか与えず、2年半ごとに再審査し、家族呼寄せも保証しないというものだ。さらには永住権取得までの期間を現在の5年から20年へ延長し、永住権すら新たな「獲得型」テストに合格しなければ得られない。こうした制度は難民を長期にわたり不安定な状態に置く「管理された不安定性」であり、事実上の冷酷な扱いだ。

著者はオーストラリアで同様の政策がもたらした深刻な心理的影響を目の当たりにしており、オーストラリアが最終的に恒久的保護へ転換したことと比較して、英国の後退を強く批判する。

また、難民が社会や経済に寄与する事実を示す研究も紹介し、適切な支援が統合を促し経済的利益をもたらす一方、今回の政策はその効果を損ない、非効率であると指摘した。政府は安全なルートを閉ざし、家族の帯同すら制限しており、こうした方針は極右の言説に迎合した政治的パフォーマンスにすぎないと論じる。

一時的保護や長期の不安定、条件付きの権利は解決策ではなく、難民を脅威として扱う姿勢そのものが問題である。英国には迫害から逃れてきた人々を受け入れてきた長い歴史があり、労働党は人道性と実務性を両立すると約束していたはずだ。今回の提案はその約束を破り、かつてのウィンドラッシュ問題で示された「敵対的環境」政策の過ちを繰り返す危険がある。

著者は、労働党が恐怖と分断を助長する方向に傾くのではなく、本来掲げてきた人道的価値観へ立ち返る必要があると強調している。
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