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高齢化、EUの移民政策、年金支出のマクロ経済的影響

公開日
2025-10-07
メディア
bruegel
記事要約
EUでは高齢者の割合と扶養率(働く世代に対する高齢者の比率)が増加しており、労働力人口の減少と全要素生産性の伸び鈍化によって、将来的な経済成長率の低下が予想されています。この中で、出生率の持続的な回復は見込めず、高水準の純移民(移民の流入超過)の維持が高齢化の経済的影響を和らげる唯一の有効な手段となっています。

しかし、移民政策の効果を最大限に引き出すには、移民が公共財政に正の貢献をすることが必要です。そのためには、就労目的の移民の割合を高め、庇護申請(難民)や家族呼び寄せなどの移民の割合を減らすことが求められます。

EU加盟国間では、公的年金費用の増加幅が異なっており、これは年金の給付水準(代替率)、退職後の生活年数、さらには高齢期の寿命の違いによるものです。特にベビーブーム世代は、親や子ども世代よりも長い退職後の生活を享受すると予想されていますが、所得層ごとの寿命格差があるため、平均的な退職年齢の引き上げは一筋縄ではいきません。

また、民間の積立型年金制度への依存度の違いは、金融市場への影響や制度の持続可能性にも関係します。年金改革を進める際には、性別や制度への加入範囲など、平等性にも配慮する必要があります。

さらに、長寿化によって介護職員の需要も高まる中、ロボットによる代替には限界があるため、人的資源の確保が急務です。

この報告書は、デービッド・ピンクスとジェイコブ・ファンク・カーケゴーの両名によって執筆されました。ピンクス氏は高齢化と社会保障制度に関心を持つ応用経済学者で、OECDや各大学・研究機関での経験を持っています。カーケゴー氏はブリューゲルおよび米国ピーダーソン国際経済研究所のシニアフェローで、欧州経済、労働市場、移民、人口動態の変化に関する専門的研究を行っています。
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