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アイルランド、不法移民への対応を強化

公開日: 2024-11-25
メディア: BBC
記事要約: アイルランドでは、北アイルランドとの国境付近で不法移民を取り締まるため、警察(ガルダ)がバス内の乗客を確認する活動を強化しています。2024年、国境付近のチェックポイントで拘束された200人が英国へ送還されましたが、これは実際に国境を越えてきた不法入国者のごく一部に過ぎません。同国では、庇護申請者の数が過去5年間で約300%増加しており、申請者の多くが英国から北アイルランド経由でアイルランドに入国しています。この背景には、英国の厳しい移民政策や、アイルランドの経済的安定が影響しています。

庇護申請者を受け入れる国のシステムは大きな負荷に直面しており、仮設のテントやホテル、旧学校施設などを活用して対応しています。しかし、住宅不足が深刻なアイルランドでは、庇護を認められた人々も仮設の居住施設から抜け出せない状態が続き、新たな庇護申請者の受け入れが困難な状況です。こうした状況は地域住民の間に不満を生み、一部の地域では庇護申請者の受け入れに反対するデモや抗議活動が行われています。

たとえば、人口221人の村ダンドラムでは、旧ホテルを庇護申請者用の施設として再利用する計画が発表され、地域住民が反発。抗議活動は180日以上続いており、政府が地元住民との十分な対話を行わなかったことが批判されています。この施設には現在、約80人の女性と子どもが住んでいますが、住民の中には今後、独身男性が多く移住してくるのではないかという不安を抱いています。

一方で、地域の一部では庇護申請者を歓迎する動きも見られます。ダンドラム周辺の17団体が連携し、「ティペラリー・ウェルカムズ」というスローガンのもと支援活動を展開しています。

政府はコミュニティとの対話を改善するため、地域対応チームを設置するなどの取り組みを進めていますが、庇護申請者受け入れのための政策はさらに厳格化されています。例えば、南アフリカ国籍の渡航者には新たにビザが必要となり、ヨルダン国籍者に対するビザ免除の例外も廃止されました。

庇護申請者の急増やそれに伴う課題が、アイルランドの政治や社会に大きな影響を及ぼしています。現在のところ、極右政党の支持率は低いものの、移民問題が他の不満を吸収し、将来的に政治的不安定を招く可能性が指摘されています。アイルランド難民協議会のニック・ヘンダーソン氏は、地域が移民を受け入れるためには、資源や適切な情報提供が必要だと述べています。
タグ: アイルランド