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公開日
2025-05-21
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WR Immigration
記事要約
2025年5月にかけて、アメリカの移民政策に関して複数の重要な動きがあった。まず、米国連邦最高裁判所は、トランプ政権による「敵性外国人法(Alien Enemies Act)」を用いたベネズエラ人の即時強制送還措置に対し、引き続き差し止めを維持し、下級審である第5巡回区控訴裁判所に審理を差し戻した。この判断では、政府が国外退去対象者に対して最低限の通知義務と適切な手続き保障(デュープロセス)を果たす必要があるとされ、急な強制送還は許されないという点が明確になった。

一方、国土安全保障省(DHS)は、アフガニスタンに対する一時保護資格(TPS)の付与を終了すると発表した。2025年7月14日をもって約9,000人のアフガニスタン人が保護を失い、就労資格も失効する見込みとなっている。政府は安全保障と経済情勢の改善を理由に挙げたが、タリバン政権下でのキリスト教徒への迫害リスクを指摘する宗教団体からの懸念も表明されており、今後の扱いが注目されている。

さらに、米国移民局(USCIS)は、2026年度のH-1Bビザ電子登録プロセスの統計を公開した。今年は登録数が前年から27%近く減少し、約34万件となった一方で、参加企業数は増加し、不正対策の効果が出ているとみられる。重複登録者数も前年から大幅に減少しており、選出率の上昇が期待されている。

2025年6月のビザ速報(Visa Bulletin)では、中国のEB-2およびEB-3カテゴリーに若干の前進が見られたが、インドについては変化がなかった。アメリカ市民権移民局はこの月に「最終アクション日(Final Action Dates)」を用いることを決定しており、該当する外国人労働者は永住権申請手続きを進めることができる。

また、2026年度の多様性ビザ(DV)抽選に関するステータス確認ポータルが5月3日に公開された。申請者は自身の確認番号を用いてオンラインで当選結果を確認する必要があり、当選者への郵送やEメールによる通知は行われない。詐欺防止の観点からも企業は従業員への適切な案内とサポートを行う必要がある。

さらに、労働省外国人労働認証局(OFLC)は、2025会計年度第2四半期までのPERM、LCA、H-2A/H-2Bなど主要な移民プログラムの公開データをリリースした。これにより企業の人事部門やグローバルモビリティチームは、申請傾向を把握し、制度変更への対応や法令遵守のための重要なベンチマークを得ることができる。

最後に、最高裁はベネズエラ国民約35万人に付与されていたTPS(仮の滞在資格)を撤回するトランプ政権の方針を支持する判断を示した。ベネズエラ国内の人道状況への懸念にもかかわらず、送還が可能となることで、雇用主は対象従業員の在留・就労資格の見直しと対応を迫られることとなる。誤って雇用を継続した場合の法的リスクにも注意が必要であり、早急な対策と法的助言が求められる。

これらの動向は、米国内の外国籍労働者とその雇用者に対し、法的リスク、労働許可、ステータス維持の面で大きな影響を与えるものであり、今後の移民政策の動向にも注意が必要である。
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