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過去「最多」更新の外国人労働者数…高度外国人材じゃないほうの『「低度」外国人材』リアルレポート

公開日
2025-07-13
メディア
FRIDAY
記事要約
日本では少子高齢化に伴う人手不足が深刻化し、外国人労働者への依存が年々強まっている。厚生労働省の統計によれば、2024年時点で外国人労働者は230万人を超え、全雇用者の約3.8%を占める。現実には、製造業や介護、建設、外食など多くの業種が、いわゆる「高度」な専門性を持たない単純労働者=「低度外国人材」に支えられている。

ルポライター安田峰俊氏の著書『「低度」外国人材 移民焼き畑国家、日本』は、そうした外国人労働者の実情を取材・記録したものである。タイトルの「低度」は、日本政府が推奨する「高度外国人材」へのアンチテーゼであり、実際には日本の労働市場で必要とされているのは、高学歴でも高収入でもない、単純労働従事者たちであるという現実を皮肉っている。

同書では、ベトナム人技能実習生や偽装留学生、不法滞在者たちの姿を通じて、彼らが必ずしも「可哀想な弱者」でもなければ「悪意ある犯罪者」でもなく、人間としての善悪両面を併せ持っていることが描かれる。中には怠惰な者や制度を悪用する者もおり、背景には日本と送り出し国の間にある制度的な問題や、中間業者の搾取が存在する。

また、かつて中国人が多くを占めていた「低度」ポジションは、2010年代からベトナム人へ、そして現在ではさらに経済的に苦しいカンボジア人へと移り変わりつつある。これは、日本の外国人労働制度が構造的に「より貧しい国から労働力を調達する」仕組みになっていることを示している。

一方で、日本の経済低迷により、外国人が経営者となり日本人を雇うという逆転現象も起き始めており、ニセコのような地域では中国系企業の進出が目立ち、外国人が主導する犯罪組織も現れている。

本書は、外国人労働者を巡る日本社会の矛盾、制度の歪み、建前と現実の乖離をあぶり出し、単なる賛否ではなく「今、私たちは何を直視すべきか」を読者に問いかけている。
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