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英語レッスンは移民試験であってはならない ― 英国の新政策が排除を深めるリスク

公開日
2026-01-13
メディア
The Conversation
記事要約
この記事は、英国政府が検討する「ビザや永住・市民権に必要な英語要件の引き上げ」に対し、ESOL(母語が英語でない人向け英語教育)が“包摂のための学び”から“合否で滞在資格を左右する監視・管理の道具”へ変質しかねない、と警鐘を鳴らしている。

筆者ら(言語教育の研究者・教師らのネットワーク)は、政府が「統合(integration)」「機会(opportunity)」を掲げる一方で、英語力を段階的に証明させる仕組みが、英語を“社会につながる橋”ではなく“越えられない国境”として機能させ、排除を強めるリスクがあると主張する。

提案では、永住や市民権を目指す移民に対し、10年の期間で基礎から上級寄り(上級中級)へと「段階的な英語力の伸び」を示すことを求め、雇用や社会参加と結びつけたポイント評価のように“測定・追跡”する構想が示唆される。だが言語習得は直線的ではなく、トラウマ、健康、介護、労働時間、教育歴の断絶などで学習の速度は大きく左右されるため、特に難民などにとって「毎回テストで伸びを証明」する要求は非現実的で懲罰的になり得る、という。

その結果、英語学習が「チェックボックスのコンプライアンス」になり、点数が努力や道徳性、忠誠心の証拠として扱われ、落ちれば“怠惰”や“ふさわしくない移民”と見なされるような言説を助長すると批判する。教育現場も、対話や自信形成より成績・出席など監査可能な指標が優先され、学びの目的が歪む恐れがある。

また実務面でも、英国のESOL提供は地域差が大きく資金不足で、最も支援が必要な人ほど保育・交通・生活事情で通いにくいのに、教師研修・待遇改善・アクセス保障などの投資が示されないまま「高い成果だけを求める」のは現実離れだとする。だからこそ、移民取締りと英語教育を結びつけるのではなく、学習者中心・トラウマ配慮型の支援と、実生活のコミュニケーションや社会参加に資する評価へ転換すべきで、統合は受け入れ側社会も含む“双方向のプロセス”として捉えるべきだ、という結論で締めくくられている。
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