世界の移民・難民
関連ニュース

(The Guardian)高学歴なUberドライバーが抱える苦悩は、オーストラリアのビザ制度がいかに「取引的」なものに変質してしまったかを浮き彫りにしている。

公開日
2026-08-01
メディア
The Guardian
記事要約
筆者はメルボルンで、工学を学んだインド人留学生出身のUber運転手と出会う。高額な学費を払って卒業したものの専門職に就けず、生活のため配車サービスで働きながら就職活動を続けており、「このままインドに帰るかもしれない」と語る姿から、オーストラリアの査証制度が「高額な費用を払い、必要な労働力として働くが、真の帰属意識は得にくい」という取引的な仕組みになっている現実を実感する。

筆者が参加した移民政策の討論では、宗教や出身国による受け入れ制限や留学生削減を求める意見から、一時滞在者の市民権取得を容易にすべきとの意見まで幅広い議論が交わされた。しかし現在の問題は一政権だけの責任ではなく、技能重視・一時滞在ビザ中心の制度や高額な査証制度は、長年にわたり与野党双方が進めてきた政策の結果だと指摘する。

その結果、低賃金分野での一時滞在者への依存、雇用主や教育機関による制度の悪用、住宅・インフラ不足などの課題が生じ、反移民感情も強まっているという。

筆者は、かつての移民政策では移民は定住と市民権取得を前提に受け入れられ、地域社会への帰属意識が育まれていたのに対し、現在は市場原理に基づく「一時的な労働力」として扱われる傾向が強まったと論じる。近年は学生ビザや配偶者ビザなどの手数料も大幅に引き上げられ、特に配偶者ビザは主要国で最も高額となっている。

最後に筆者は、移民を政治的な責任転嫁の対象にするのではなく、移民制度の長所と課題を率直に認め、透明性の高い政策運営を行うことが、国民の信頼と社会の結束を回復するために不可欠であると結論付けている。
タグ
オーストラリア