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(SBS News)オーストラリアの移民制度の是正は、単に移民の数を減らすことだけを意味するわけではない

公開日
2026-09-12
メディア
SBS News
記事要約
オーストラリアではコロナ禍後に移民流入が急増し、純海外移民(NOM)は2023年に過去最高の約54万7,000人に達した。その後は減少し、2024/25年度には入国56万8,400人、出国26万2,800人でNOMは30万5,600人となったが、依然としてコロナ前をやや上回る。NOMの70%を一時滞在ビザ保有者が占め、2026年7月末には約290万人の一時滞在者が国内にいた。

移民削減を主張するOne Nationのポーリン・ハンソン党首は、住宅価格や家賃、賃金、公共サービスへの負担を理由に、NOMを13万人まで減らし、特に留学生を大幅削減するよう求めている。労働党政権は2027/28年度までに22万5,000人、保守連合は20万人を大きく下回る水準を目指しており、移民削減は主要な政治課題となっている。

しかし専門家は、大幅削減の副作用を指摘する。2024/25年度の一時移民入国者の43%を留学生が占めるが、留学生を急減させれば、大学財政や国際教育産業で働く約5万人の豪州人の雇用にも影響する。住宅についても、留学生は大都市に集中しているため家賃への一定の効果は考えられるものの、住宅価格は税制や金利など複数の要因で決まり、建設業で働く移民を減らせば住宅供給を逆に制約する可能性もある。

さらに、飲食・医療・介護・農業などは外国人労働者への依存度が高い。豪州の料理人・調理師の約半数、医療・社会福祉従事者の約37%が海外生まれであり、地方では農業、食肉処理、鉱業などを外国人が支えている。このため、移民への反対が比較的強い地方ほど、実際には移民削減による経済的打撃を受ける可能性があるという矛盾も指摘されている。

専門家は、単純に人数を削減するのではなく、どの移民をどの程度受け入れるかを精密に設計すべきだと主張する。高技能・高所得人材を重視し、永住への道がない一時滞在者を大量に抱える制度を見直すことや、一時ビザに最長8年などの期限を設ける案もある。また、ビザ失効後の自主帰国に2万~3万豪ドルを支給する案も提示されている。

記事が示す最大の論点は、**移民削減には必ずトレードオフが伴う**ことである。住宅や社会サービスへの負担を抑える一方、大学、医療、介護、農業、建設などでは人手不足を悪化させる可能性がある。オーストラリアでは現在、単純な「移民を増やすか減らすか」ではなく、経済・住宅・社会統合・人権をどう均衡させながら、持続可能な移民規模と制度を設計するかが問われている。
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