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TOEIC「中国人の替え玉受験」日本で起きた背景 《学歴社会の中国》日本での大学院進学を狙ったか

公開日
2025-05-29
メディア
東洋経済オンライン
記事要約
TOEIC試験における替え玉受験が発覚し、特に日本でこうした不正が起きやすい背景には、日本社会におけるTOEICの特有の重要性がある。日本ではTOEICのスコアが大学院入試や就職、昇進など、人生の多くの場面で評価対象となるため、高得点を得るために不正の需要が高まっている。一方で、中国ではTOEICはあくまで複数ある英語試験の一つに過ぎず、受験料も高く受験機会も限られているため、それほど重視されていない。さらに、中国の「組織カンニング罪」は国家試験にのみ適用され、TOEICのような民間試験には当てはまらないことから、不正に対する法的リスクも低いと受け取られている。

今回の事件では、替え玉受験が行われたTOEIC公開テストは、スコアが記載された公式認定証が発行されるため、不正が集中しやすい。また、TOEICのリスニング&リーディングテストはすべて選択式で、音声機器を使ったカンニングが技術的に可能な構造となっている。

加えて、外国人による不正はTOEICに限らず、日本語能力試験や日本語基礎テストなどでも発生しており、特定技能などの在留資格取得を目的とした替え玉受験の事例も明らかになっている。これらの不正は、試験の信頼性だけでなく、日本の入国管理制度にも影響を及ぼす深刻な問題である。

さらに、不正は外国人に限った問題ではない。日本人も企業の採用試験などでウェブテストを不正に受験しており、生成AIやチャット機能を用いた協力解答が日常的に行われているという調査結果もある。試験が多様化し利便性が増す一方で、公平性の確保が難しくなっており、技術の進化に対応した新たな対策が求められている。
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