世界の移民・難民
関連ニュース

移民法執行に関連する子供の精神衛生危機

公開日
2025-08-08
メディア
University of California, Riverside
記事要約
カリフォルニア大学リバーサイド校医学部の精神科医らは、米国の積極的な移民取り締まり(拘束、強制送還、職場摘発など)が、混合身分家庭に暮らす移民と米国生まれの子どもたちに広範な精神的トラウマを与えており、公衆衛生上の緊急事態であると警告する報告書を発表した。

報告書は、親の拘束や送還への不安、移住前後の家族分離が子どもの情緒発達や学業に悪影響を与え、特に母親など養育者もトラウマを抱えることで子どもへの情緒的支援が難しくなると指摘。年齢によって影響は異なり、乳幼児では愛着障害や睡眠・食事の問題、小中学生では不安や恐怖、思春期では親の役割を担う「親化」や抑うつが多く見られるという。

臨床例として、常に親の送還を恐れる子どもや、学校・医療機関に行くことすら避けるケースが紹介され、家族は分離時の安全計画を立てざるを得ない状況に置かれている。虚偽の安心感ではなく、年齢に応じた正直な説明と実際的な対策が必要とされる。

著者らは、移民政策と精神保健政策を結びつけ、子どもの安全や家族の一体性といった基本的権利を侵害する現行の取り締まりが、PTSDなど長期的な精神疾患や世代間でのトラウマ継承につながると警鐘を鳴らす。

一方で、地域コミュニティの強さや子どもたちの回復力、現場の支援活動に希望を見いだし、小さな介入でも子どもの将来を変えられる可能性があると強調している。
タグ
米国

「米国」を含むニュース記事一覧

公開日
記事のタイトル
タグ