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まだ「人口増加の余地」が残されている…少子高齢化が進む先進国の中で日本だけに与えられた政策オプション

公開日
2025-12-20
メディア
プレジデントオンライン
記事要約
日本では移民を巡り、「治安悪化」や「社会保障負担増」といった不安が強調されがちだが、実際には外国人人口は近年急増しており、今後も増加が続く可能性が高い。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計では、2070年には外国人が総人口の約10.8%を占めるとされているが、これは国際的に見ればなお平均水準以下であり、日本には依然として移民を受け入れる余地がある。

2010年代以降、外国人人口は年間20万人を超えるペースで増加し、直近では毎年30万人以上の純増が続いている。この規模は、出生率が理論上の上限まで回復した場合に匹敵する人口効果を持ち、日本の人口構造を左右する重要な要因になりつつある。経済格差が縮小しているにもかかわらず来日者が増えているのは、国際移住の理論上、一定程度の格差縮小がむしろ移住意欲を高めるためであり、今後も就労目的の来日は続くと考えられる。

国際比較では、日本の外国人比率は現在約3%と先進国の中で極めて低い。仮に今後10%を超えても、欧米諸国の平均(約15%)と比べれば決して突出した水準ではない。一方で、外国人が社会秩序を乱すとする報道やナラティブが繰り返され、排外主義的な世論が広がることは、日本が持つ国際的な優位性や社会の活力を損なう危険がある。

欧米諸国では、少子高齢化にもかかわらず政治的理由から移民受け入れが困難になっているのに対し、日本はこれまで本格的な移民受け入れを行ってこなかった分、なお「受け入れ余力」を持つ。これは日本にとって、少子高齢化に対応するための「隠された人口ボーナス」と言える。

一方、外国人急増への不安の背景には、「日本には移民政策が存在しない」という認識がある。日本はこれまで、技能実習生や留学生などを通じた間接的・例外的な受け入れを行ってきたため、「なし崩し的」と批判されてきた。この「移民政策不在論」は現状批判として有効な面がある一方で、実際に存在してきた政策の蓄積を無視し、将来の政策形成を思いつきや恣意的なものにしてしまう危険も孕んでいる。

今後重要なのは、日本がこれまで行ってきた外国人受け入れ政策を体系的に整理・理解し、その内在的論理を踏まえた上で、統合政策を含む持続可能な移民政策を構想していくことである。
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