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(出入国在留管理庁)永住許可に関するガイドライン(令和8年10月1日改定)

公開日
2026-10-01
メディア
出入国在留管理庁
記事要約
2026年10月1日、出入国在留管理庁は「永住許可に関するガイドライン」を大幅に改定した。従来から、永住許可には①素行が善良であること、②独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること、③その者の永住が日本国の利益に合すると認められること、という3つの基本要件がある。この法律上の枠組み自体は変わっていない。しかし今回の改定では、これまで比較的抽象的だった「独立生計要件」や「国益要件」の判断内容が大幅に具体化され、永住審査のあり方は実質的に大きく変わる。

## 収入・経済的自立の審査を具体化

最も重要な変更の一つが、独立生計要件である。従来は「公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること」とされ、具体的な収入水準はガイドラインに示されていなかった。

新ガイドラインでは、現在および将来の収入、資産、技能等を踏まえ、「日本人と同等水準以上の経済条件」を有するかという観点が明確になった。特に収入については、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準に継続して達しているかなどが考慮される。

したがって、今後は単純に「本人の年収がいくらか」だけではなく、配偶者や子どもを含む世帯人数、世帯全体の収入、継続性などを総合的に確認する必要がある。

## 年金・公租公課の履行も重視

従来も税金、年金、健康保険料などの公的義務を適正に履行していることは永住審査の重要な要素だった。今回の改定では、年金について独立生計との関係でもより具体的に評価する構造となり、現在の納付状況だけでなく、将来にわたって安定した生活を維持できるかという観点が強くなっている。

税金、社会保険料等についても、単に最終的に支払っていればよいのではなく、法定期限を守って適正に履行していることが引き続き重要となる。

## 「10年間日本にいること」の意味を厳格化

原則として引き続き10年以上日本に在留していることという基本的な要件は維持される。一方、新ガイドラインでは、日本を実質的な生活拠点としていたかどうかについて、より具体的な基準が示された。

過去10年間に合理的な理由なく、1回の出国で半年以上日本を離れていた場合、または国外滞在期間が通算2年6か月以上となる場合には、原則として消極的に評価するとされている。

これまで長期出国について明確な数値基準は示されていなかったため、大きな変更である。海外赴任、長期出張、家族の介護、出産その他の事情によって長期間日本を離れていた場合には、その理由を具体的に説明する必要性が高まる。

## 日本語能力を新たに考慮

今回の改定で特に注目されるのが、日本語能力が永住審査の考慮要素として明記されたことである。

原則として「日本語教育の参照枠」のB1相当以上の日本語能力を有しているかが考慮される。もっとも、すべての申請者について一律にB1を要求するものではなく、高度人材やその家族、日本で初等・中等教育を一定期間受けた者などについては、一定の例外が設けられている。

したがって、「永住には全員JLPTの特定レベルへの合格が必須になった」と理解するのは正確ではない。しかし、日本語能力そのものが永住審査の正式な考慮要素になったことは、従来との大きな違いである。

## 日本の制度・ルールへの理解も審査

日本語能力とは別に、日本で生活するために必要な制度やルールについて一定の理解があるかも考慮される。

入管庁の「生活・就労ガイドブック」などを基礎として、日本の社会制度や生活上のルールについて理解しているかを確認する仕組みが想定されている。

つまり永住審査は、単に長期間日本に滞在し、収入があり、税金を納めているかを見るだけでなく、日本社会の制度やルールを理解し、社会の構成員として生活しているかという「社会統合」の側面まで評価する制度へ変化することになる。

## 子どもの就学状況も考慮

学齢期の子どもがいる場合、その子どもが小学校・中学校等に適切に就学しているかも考慮要素となる。

これも従来のガイドラインには明示されていなかった事項である。本人だけではなく、家族全体が日本社会の中でどのように生活しているかという観点が永住審査に取り込まれたと見ることができる。

## 配偶者等の在留期間特例も厳格化

日本人、永住者または特別永住者の配偶者については、従来、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、日本に引き続き1年以上在留していれば、原則10年在留という要件の特例を受けることができた。

新ガイドラインでは、この期間が「婚姻生活5年以上かつ日本在留3年以上」へ延長される。また、実子等についても、日本在留1年以上から3年以上へ延長される。

日本人の配偶者等が比較的早期に永住申請できる従来の制度運用に直接影響するため、実務上非常に重要な変更である。

## 「特定活動」の在留期間の扱いを明確化

新ガイドラインでは、永住に必要な10年間の在留期間や、そのうち必要となる就労資格等での在留期間に、どの「特定活動」が算入されるのかについても具体化された。

例えば、大学等を卒業した後の継続就職活動、就職内定後の待機、卒業後の起業活動、難民認定等の手続中、本国情勢を理由とした在留などについては、10年間の計算上注意が必要となる。

また、ワーキングホリデーやインターンシップなど、実際には就労することができる「特定活動」であっても、永住要件上の「就労資格」による在留期間として当然に算入されるわけではない。

したがって今後は、在留カードの在留期間を単純に合計して「日本に10年間いるから申請できる」と判断するのではなく、過去の在留資格を一つずつ確認する必要がある。

## 永住審査が「社会統合」まで見る制度へ

今回の改定を全体として見ると、単に永住許可の条件がいくつか追加されたというだけではない。

従来の永住審査は、在留期間、素行、収入、納税、年金・社会保険などを中心としていた。これに対して新ガイドラインでは、経済的自立に加え、日本語能力、日本の制度・ルールへの理解、子どもの就学、日本を実質的な生活拠点としているかなどが明確に審査要素に組み込まれる。

すなわち、永住者として日本社会に長期的に定着するための「社会統合」の程度まで評価する方向へ、制度の性格が大きく変化したといえる。

なお、新ガイドラインは原則として2027年4月1日以降の申請から全面的に適用される。ただし、2026年4月1日から2027年3月31日までの申請についても、収入に関する一部の新基準が先行して適用される。また、「3年」の在留期間を最長在留期間として扱ってきた従来の運用についても経過措置が設けられている。

そのため、実務では「いつ申請するか」によって適用される基準が異なる点にも十分な注意が必要である。
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