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反移民政策はドイツの人種差別を助長している

公開日
2025-10-08
メディア
DW
記事要約
ドイツでは移民に対する政治的関心が高まる中、ブラックコミュニティへの包摂が後退する懸念が出ている。人権団体「ドイツの黒人イニシアチブ」のタヒール・デラ氏は、移民議論が盛り上がると、ドイツに住む黒人やアフリカ系住民の存在自体が疑問視されることがあると述べた。

EU基本権庁の2023年「EUでブラックであること」報告書によると、ドイツはEU内で黒人差別の報告増加率が最も高かった。2025年の連邦選挙後には、反移民を掲げる極右政党AfD(ドイツのための選択肢)が第2党となり、情勢はさらに悪化する可能性がある。

経済的には、サブサハラ・アフリカからの移民は他のグループよりも失業率が高く(約16%)、平均所得も低い。例えば、10年間ベルリンの病院で看護助手として働くベナン出身のアルノー・ド・スーザ氏は、月収が平均より低く、人種差別を経験することもあるという。

多くのアフリカ系移民は清掃業など低賃金労働に集中しており、賃金格差の背景には「職業的な仕分け」や外国学歴・職歴の評価不足があるとされる。

また、アフリカ系やアラブ系の名前を持つ人々は職業訓練の応募でも不利であり、これは人手不足が深刻なドイツでも変わらない。公共の議論が差別を助長する可能性も指摘されている。

他方、ルクセンブルクでは、差別への対応として国民意識調査を行い、国としての行動計画を進めている。経済学者のドキエ氏は、差別があることをデータで証明することが必要だと述べた。

デラ氏もまた、差別の実態をより明らかにする包括的な調査とデータ収集の必要性を訴えている。
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