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解説 | 要塞ヨーロッパ:不法移民と不正な亡命申請の取り締まりは実現するのか?

公開日
2025-01-14
メディア
Baird Maritime
記事要約
2025年の移民政策は、ヨーロッパでの移民問題が引き続き政治的な争点となり、厳格な対策が進められる見込みです。特に、移民犯罪を懸念する声が高まる中で、EUは新しい庇護協定を2026年までに実施予定です。この新しい協定には、庇護手続きの迅速化や強制送還の強化が含まれていますが、権利団体はこれが庇護申請者の権利を制限し、不当な拘束や強制送還のリスクを高める可能性があると警告しています。

イギリスのキア・スターマー首相は、移民犯罪を取り締まるため、密輸業者との戦いを政策の柱にし、イタリアやドイツとの協力を進めています。EUでは、密輸防止を目的とした「便宜提供指令」が2025年に採決予定ですが、活動家は、庇護を求める移民に対して支援を提供する人々も刑罰の対象になりうることに懸念を示しています。

EUは、庇護申請の迅速化と、拒否された場合の送還の加速を目指しています。また、「安全リスト国」の拡大や、拒否された庇護申請者を迅速に送還するための「帰還ハブ」の設置も議論されています。

さらに、EUは非加盟国に庇護申請者を送る圧力を強めており、イタリアとアルバニアは移民を第三国で処理する初の協定を結びましたが、法的課題も抱えています。

EU内では、移民の増加と治安問題への対応として、一部の国々がシェンゲン圏内で一時的な国境管理を強化しており、人工知能(AI)を活用した国境管理システムも導入されています。AI技術の使用には懸念もあり、移民や庇護申請者に対して差別的な扱いを助長するとの指摘があります。
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