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「ネット空間が現実社会を浸食」差別と向き合い、舞台に学ぶ──統計を武器にする宮下萌弁護士の現在地

公開日
2026-01-20
メディア
弁護士ドットコム
記事要約
テクノロジーと差別問題を専門とする弁護士の宮下萌さんは、ネット上のヘイトスピーチや人権侵害の是正に取り組み、2024年1月に提訴された「人種差別的な職務質問をやめさせよう!訴訟」にも弁護団として関わっています。差別問題に取り組む原点はロースクール時代で、朝鮮学校が高校無償化から除外された裁判の弁護団会議に参加し、国が公的に差別的扱いをしている現実と、それを知らずにいた自分自身に衝撃を受けたことがきっかけだと語ります。

弁護士となった後は、朝鮮学校裁判に関わる法律事務所に所属し、国際人権NGOでも反レイシズムの調査やロビー活動に携わりました。活動を通じて、路上デモなどオフラインのヘイトが減る一方、ヘイトがオンラインへ移行し、ネット空間が現実社会を浸食していると指摘します。木村花さんの件を契機に、発信者特定手続を容易にするプロバイダ責任制限法の改正が進み、さらに2025年4月には情報流通プラットフォーム対処法が施行されたものの、拡散した被害の完全な除去は難しいという課題を挙げます。

また、2025年1月のMetaによるファクトチェック方針をめぐる動きなどを受け、差別や人権侵害への対応に関する合意形成が揺り戻され、米国でのDEI攻撃が日本にも影響していると述べます。日本では包括的な差別禁止法がなく、何が差別かという規範や指針が曖昧なため、レイシャルプロファイリングのような問題が温存されやすいと問題提起します。表現の自由についても、言論空間を維持する前提が崩れつつある現在、ヘイトスピーチは他の権利との調整の中で規制が成立する段階にあるという見解を示します。

宮下さんは大学院で「統計的証拠と司法」を研究し、データで社会を動かしたいと考えています。係争中の訴訟では職務質問の実態を把握する大規模調査を担当し、在留外国籍者が職務質問を受けた割合が日本国籍者の5.6倍に上る結果を示して裁判所に提出しました。統計を苦手とする法曹もいる一方、今後日本でもデータの重要性は増すと見ています。多忙な日々の息抜きは宝塚鑑賞で、物語を通じて他者の視点を追体験することが、依頼者の見ている世界を理解し、裁判官に伝わる言葉へ橋渡しする仕事にも役立っていると語っています。
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2025-02-04
在留特別許可,資格外活動,共生