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命を失いかねない人を放置してよいのか 在留資格と医療

公開日
2025-12-09
メディア
毎日新聞
記事要約
移民や移民ルーツをもつ人々が日本で直面している最大の課題の一つは、在留資格の有無が医療や教育など、命や生活に直結する場面で大きな壁となっている点である。新型コロナ禍では、住民票を持たない仮放免中の外国人がワクチン接種を受けられない事例が生じ、病気やけがに在留資格は本来関係ないにもかかわらず、「命の差別」が現実に存在することが浮き彫りになった。

問題は医療にとどまらず、在留資格のない人々の生活や子どもの教育についても、行政は「帰国」を前提に対応を拒む姿勢が強い。多くの国では、社会保障の対象外となる人がいても、緊急医療など命を守る制度が用意されており、日本の対応は極めて限定的だと指摘されている。社会の中で命の危険にさらされる人を放置することこそが、社会のゆがみや分断を生む原因になるという。

また、「日本人ファースト」というスローガンについては、日本社会の大多数がすでに日本国籍者で構成されている中で、外国人の人権を脅かしかねない危険な考え方だと批判する。健常者ファーストや男性ファーストと同様、差別が際限なく拡大する恐れがあり、内容のないスローガンが社会問題の本質を覆い隠していると述べている。

一方で、日本社会全体が排外主義に染まっているわけではなく、職場や地域、保育園など日常の接点を通じて意識が変わる可能性も大きいとする。ただし、外国人と共に生きる社会のあり方については、この20~30年で人数が増えた一方、「どう一緒に生活していくか」という意識や制度は十分に変わっていないと感じている。

多文化共生が「日本人と同じになること」を求める発想に偏りがちで、互いの違いや共通点を十分に理解し合えていない点が課題とされる。地域コミュニティーには、外国人と協力してきた成功体験も多く存在しており、そうした経験を積み重ねていくことが、真の共生社会につながると結論づけている。
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2025-02-04
在留特別許可,資格外活動,共生